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戦略的人材マネジメント

 秋期のまとめ、2講義目。今回は「戦略的人材マネジメント」についてまとめます。
 この講義では、ダイバーシティの拡大、働き方改革、ITの進化など、人材マネジメントの在り方に影響を与える要因が次々と変化するなかで、人材をどのようにマネージするかを学びます。
 講師は、京都大学教育学部教員心理学科卒の川上真史先生です。川上先生は、早稲田大学や明治大学でも講師を務めておられます。

 講義では、人材論・モチベーション理論・コンピテンシーに基づいた人材の開発・リーダーシップ/フォロワーシップ/メンバーシップ・DE&I・創造する組織・人事考課・コンピテンシーアセスメント・トータルリウォーズ・ポジティブ心理学・人格形成・科学的人材マネジメント などを扱いました。

 以下からは、印象に残った部分をそれぞれまとめます。


スキーマ

 スキーマは、人間の心の中にある根拠のない絶対的な思い込みのことです。例えば私たちは、初対面の誰かと話した際に数分で「この人は○○な人」と決めつけてしまう可能性があります。これを他社スキーマと呼びます。根拠なく思い込んでしまっている歪んだ認知をアンラーニングすることで、人材マネジメントの考え方をアップデートすることが出来るかもしれません。

Teal組織

 ティール組織とは、2014年にフレデリック・ラルー氏の著書「Reincenting Organizations」の中で紹介されました。5つの組織モデルがあり、レッド・アンバー・オレンジ・グリーン・ティールに色分けされています。その中で、ティール組織は、進化型と呼ばれ個人が意思決定できるフラットな組織です。ヒエラルキー重視でなく、ホラクラシー重視の組織を目指す考え方です。

ジョブ・クラフティング

 エンゲージメントに影響を与える要因として、Employee EngagementとJob Engagementに分類し、後者の中にジョブマッチングとジョブクラフティングを位置する考え方です。自分の仕事を自分で創り出していくことで、エンゲージメントが高まるという考え方です。職場で各々がジョブクラフティングに挑戦できる環境を創っていくことが重要だと学びました。

コンピテンシーのレベル

 仕事をする中で、その人が優秀かどうかという視点ではなく、その人の持っている能力が成果につながっているかという視点から見た考え方です。講義では、レベル1からレベル4に分けており、レベル4を閉塞状況を打破することが出来る最高のコンピテンシー行動としていました。職場でも、あの看護師さんや介護士さんはコンピテンシーレベル4の仕事をしているなぁなどと気づくきっかけになりました。

3つのShip

 リーダーシップ、フォロワーシップ、メンバーシップの違いを学びました。以前にも、リーダーシップ・フォロワーシップなどの違いについてTEDなどの講義から学んでいました。今回、本来のフォロワーシップはリーダーにとってのよきディスカッションパートナーであると学び、実際に行動に移すことが出来ているように感じます。

DE&I

 Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)の頭文字をとっています。重要だとわかっていても、人はだれでも「アンコンシャス・バイアス」を持っており、自分では考え方やものの見方が歪んでいても気づかないことを、非常に注意深く意識する必要があると感じました。

コンピテンシー・インタビュー

 面接の際に、どのような点を評価するのがよいかと考える際に、コンピテンシー・インタビューの考え方が有用です。本人が生み出した成果を、「例えば?」と深堀することで、今後も再現性がある成果であるかを見極めるような方法です。途中で評価を加えずに、興味を持って相手の話を聞くことで、相手も心地よくインタビューを終えることが出来ると話していました。川上先生はこの分野の著書もあるので、興味がある方はお読みいただくと良いかもしれません。

トータルリウォーズ

 成果に対してメリハリの利いた処遇を行うペイフォーパフォーマンス(Pay for  Performance:成果主義)が必ずしもモチベーションの向上とリテンションには効果がないことが明らかになったことで、トータルリウォーズが注目されます。
 トータルリウォーズとは、キャリア構築や就業条件・環境を一人ひとりのニーズに合わせることで、社員の働きに報いる処遇のことです。最低条件の報酬は確保しつつ、昇格・昇進・教育機会・キャリアパス・異動・勤務時間などのトータルでの便宜性が、支給される報酬であるとの考え方です。
 講義では、さらに一律か個人差かという軸と、外敵報酬か内的報酬かという軸で考えを深めていきました。この部分は今まで考えたことがなく、非常に興味深かったです。

 このほかにも、川上先生の専門分野である心理学についてもいくつか理論を学びました。公認心理師を取得した際に触れた内容も多かったですが、コーピングやパーソナリティのBig5・エリクソンの発達段階・条件付け・フレーミング・プロスペクト理論などについて復習する機会になりました。

 川上先生とアナウンサーの竹内里佳さんの掛け合いが心地よく、楽しく受講ができました。

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