リレーコラム:最近何かアツいものある?

花岡さんから熱気ムンムンの、非常にリスペクタボーな”ヲタク魂”全開コラムを受けまして、これは何か語らねばあるまい。

私の中で今アツいのは講談師の「神田伯山」先生です。

初めて見たのはダウンタウンと坂上忍の番組ゲストで出ていた映像。スマホ片手にごろごろとみていた。

その時はまだ二つ目の「松之丞」のころで、「毒舌炸裂!」「女性に人気!」と謳われていてテレビの人気者という感じ。歌丸師匠をいじってみたりしてやはり話芸の人なので話がうまくて面白いなあと思ってたのだが、そのあとに講談を披露。

これがとんでもなく面白かった。

話の内容は水戸黄門に仕えた居合の達人・和田平助正勝と、はなぶさへいだゆうという武芸者の御前試合をするというもの。本来の長さをギュッと凝縮し、3分間の講談だったが、熱量がすごかった。

スイッチの入り方、役の切り替え、張り扇のリズム、全部が気持ちよくて、刀の切っ先が怖いと感じるほどに臨場感があった。

私は文系の大学に通っていて、当時古典芸能の授業があり、そこで落語や講談を見る機会があったが、その時は講談って落語に比べて粛々と語る「静かな芸」だと思っていた。こんなに物語に起伏があり、全身を使うものだったとは。

画面越しにあんなにびりびりとした気持ちになったのは久しぶりで、画面を見て演劇の半端者ながら思った。

この人はテレビに出るためじゃなくて、講談をやるために来たんだと。

気付いたら正座してた。

そこから色々漁りはじめ、すぐにyoutubeの「神田伯山ティービィー」にたどり着く。

かのチャンネルでは、自身の講談をいくつか披露しており、長編「畦倉重四郎」が全編(1席30分~40分のものが19席!)のっている。

また「伯山になった日」という題目で、襲名と真打披露公演を全日(!)を密着したドキュメンタリーに、講談界の有名な先生方や著名な方との対談動画。

そこから私の神田伯山エンドレスループ(ようするに沼)が始まる。

本当に馬鹿な話なのだが、講談って1席30分~40分ありすべて語り口だけなので、私の頭だと話の内容をすべて覚えておけない...

1個目を聴いて次は2個目、と繰り返すと、1個目に聴いた話の内容はもう忘れている。
あれ?どんな話だっけと思ってもう一回聞き、ああこんな話だったと思ったり、え、こんな展開だった!? と驚いたり、なんというか毎回新鮮な気持ちで聴けるのだった。エンドレスループに拍車がかかる。

鳥頭もこういう時に役に立つものだ。

神田伯山ティービィーでは足らず講談CDを買って聴き「太田松之丞(改め伯山)」も周回。

しかし、まだまだ足りなかった。

私はまだ、本物の、「生の講談」を聴いていない。

現地に行き、聴かねばならない。

伯山の、熱量を浴びたい。

神田伯山の名前でチケットを検索しても、さすがはチケットの取れない講談師、どこもソールドアウト。

諦めかけた矢先、SNSで情報をキャッチ。

浅草演芸場で神田伯山の主任公演がある…!?

気付けば私は、朝9時浅草演芸場の整理券配布の列にいた。

伯山は夜の主任だったが、youtubeで見ていた襲名披露の時の毎日の行列がすごかったので早めに行ったが、既に列が。
無事、整理券をゲット。

ゲットしたのち、16時まで時間をつぶす。

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同行人の沖田さんと。
喫茶店でモーニングなどする


16時00分頃 再び浅草演芸場へ。
既に夜の回に入場する人でいっぱいだった。
本当に入れるのか?まだちょっと不安。

16時30分頃 整理券で入場成功。やった。
運よく前から5番目の席に座ることが出来た。
さて、伯山先生の出番は主任なので一番最後、あと4時間後になる。

4時間…

朝9時から浅草にいて、16時まで遊び倒して、これから寄席4時間。

もつのか私…? 果たして…

結果は以下の通り

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語彙力無し。

めちゃくちゃよかったです。

いや、というか、4時間余裕だった。

出てくる方出てくる方が全員面白く、さらに嬉しいことに伯山ティービィーに出ていた方々が一同に介していて興奮した。アベンジャーズの気持ちだこれは。予習の甲斐があった。

伯山先生の演目は「東玉と伯圓」伯山の名ゆかりある話だった。

夜の部に出ていた柳亭小痴楽師匠が「あれ好きなんだよね、やってよー」と言うのでこの話をやることにした、とのこと。「まあ、師匠はさっきもう帰ったんですけどね」という枕で一つ沸かせ、本題に入っていく。

東玉と伯圓のあらすじは以下より。

この主人公、伯海を小痴楽さんが好きだというのは妙に合点がいって、伯海の生きざまは小痴楽さんと通ずるところがあるように思えて、伯海を演じる伯山にまた小痴楽が重なり見えた。

やはり生の熱量ったらなかった。

改めて思った。芸っていうのはすごい。エネルギーだけで人を感動させる。

前から五列目は、伯山先生を存分に浴びれました。

満ち足りた気持ちで演芸場を出ると、その後から一般と同じ入り口から、小痴楽さんが普通に出てきた。

え!? と声に出る。

裏口とかないの?

いやいや、じゃなく、いるじゃないですか。

寄席客の一人が小痴楽さんへ「伯山さん帰ったって言ってましたよー!」とそこにいたほとんど客たちが思っただろう言葉を代弁して叫んだ。

小痴楽さんは「なわけねーだろっっ」と笑いながら去っていった。

終わりまでちゃんと聴いてたんだ。

最後に、いいもん見れたな……

非常にいい余韻の残る帰り道だった。


これからも通いたいと思います。

さ、恥ずかしくなってきたのでこの辺で。

伯山先生のチャンネル貼っておきますのでよかったら見てね。


それでは次は花岡さん、
「おすすめのyoutubeある?」

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