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マスク美人、見返り美人、ヒジャーブとルイ・ヴィトン
今日はエッセイ。
≪要約≫☆彡
☞マスク美人は見返り美人と同様「秘するが花」のミステリアスさが魅力。イスラム教のヒジャーブとも類似する。
化粧や整形は西欧近代的な美の能力主義の現れ。マスクとヒジャーブは共に、そういう競争からのリトリート(退却)。
その味を知ってしまったら、また以前のような競争社会へ戻れるのか。
本文ここから⇩
いつになってもマスク外せませんね。マスク美人という言葉さえ広まりました。
しっかりしたアイメイクで、顔の下半分は全く見えないから、見る側の想像を逞しくさせますよね。「マスク美女」という言葉はそういうことを言っているのでしょう。
考えてみるとこれって、浮世絵で取り上げられた「見返り美人」と同じ理屈ではないでしょうか。見返り美人も見えないからこそ、美人。世阿弥のいうように「秘すれば花」。
マスクとヒジャーブの類似性
また、世界に目を向けると、イスラム教のヒジャーブ(ブルカ)ってものがあります。女性が被る黒い頭巾ですね。
イスラム教がなぜヒジャーブ(ブルカ)を女性に求めるかというと、
神は、貞節な女性たちに「目を伏せ、プライベートな部分を守り、(魅惑させないよう)飾らず」にと伝えています。これは、女性たちが名誉と尊厳を維持し、謙虚さを保ち、性欲的な外的要因を取り除くことで、社会でイスラム教徒として認められ、虐げられることを防ぐためです。
https://www.parcic.org/report/palestine/palestine_learn/18024/
男性を幻惑しないようにすることで、女性自身を守るものだというのです。
また砂漠のエリアでは、もちろん日焼け防止もあるでしょう。
今まで、西欧の女性たちはイスラム教のこのような教えに対して、次のように反論してきました。
・自己満足のためにファッションを考えているのであって、男のためにセクシーな格好をしているわけではない。
・また魅力的な女性を前にして自制心を失う男こそが悪い。そういう男のために自らの楽しみを控えるよう求められるのは、男女の不平等だ。
コロナの流行初期に、フランスやアメリカでマスクを着用することに忌避感を覚えた人々が沢山いました。これは一つには、ヒジャーブみたいだから、という気分があったのではないでしょうか。
ファッションの聖地パリでは、ヒジャーブを認めることはできないのです。皆がヒジャーブを着るようになったら、ファッション産業は崩壊します。
世界最大のファッション業大手企業体LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の本社は当然パリにあります。
・売上高 170億5300万ユーロ(2009年) 日本円換算2兆2230億円
・従業員数 7万7302 (2009)
皆がヒジャーブになってしまえば、売上は10分の1もいかないのではないでしょうか。もちろん、フランスのファッション業界はLVMH以外にもたくさん会社があります。何万人もの労働者が路頭に迷います。
もう一度、イスラム教に戻りたいと思います。
「目を伏せ、プライベートな部分を守り、(魅惑させないよう)飾らず」に
逆に言うと、西欧の女性は、「目を上げ、プライベートな部分を曝し、魅惑させるよう、飾る」ように仕向けられている、とも言えるわけです。
確かに、日本を含む西欧女性はハイヒールを履いて男性との身長差を補い、ファッションを通じて自分の価値観や志向性といった、他人とは違うプライベートな部分をアピールします。
ここで疑問がわきますね。イスラム教と西欧でなぜこれほどまでの違いが生まれたのか。
能力主義の近代
私はやはりフランス革命が発端だろうと思います。フランス革命(1789)が勃発して以来、封建的秩序の崩壊が起きます。それまでは、貴族、平民と 身分が分かれており、着るものも決まっていました。
しかし、フランス革命によって、生来の身分が重視されなくなります。能力主義(メリトクラシー)の競争時代がやってきます。イスラムの国はまだハーシム家やサウード家のような王族支配が一般的です。
そこでは、自分の能力の不断の証明が求められてきます。女性にとっての競争、能力とは、美しさです。
「化粧は女の戦闘服」という言葉を知っていますか。化粧は男に対するアピール以上に、女同士の競争でもあるのです。
この競争はひたすら激化します。最近では整形手術がかなり一般化してきました。「化粧は女の戦闘服」に倣って言えば「整形は女のリーサルウェポン」でしょうか。米ソや米中の軍拡競争みたいです。
そんな状況下で、襲い掛かってきたコロナ禍。みんなが一斉にマスクしなければならなくなりました。フランスでもアメリカでもロシアでもです。
あたかも交戦中の軍隊が、大地震でも起きて一時の休戦協定を結んだかのような雰囲気です。
イスラム教のヒジャーブ(ブルカ)は、女性の自己実現を許さない代わりに、女性同士の競争や脱落もありません。一種の保護主義なわけです。
コロナによって生まれた美しさの能力主義からのリトリート(退却)。いまやコロナが明けてもマスクなしでは生活したくない、なんていう女性の心理はこういうものだと思います。
イスラム教徒のように競争を止めた世界の平穏さを知ってしまった我々は、コロナが終息した後の世界をどのようなものにしていくのでしょうか。
とはいえ、それでもルイ・ヴィトンは10万円のフェイスシールドを作ったりして、女性の闘争心を煽り続けるのですが。
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