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他人に自分を差し出さない

今まで私は私の人生を、他人に慰めとして、あるいはごみ捨て場として、はたまた娯楽として、明け渡してきたらしい。

父からの暴力を受けいれて、母からの呪詛を受け入れて、弟との差別を受け入れて、気づけば私は他人に自分を差し出す人間になってしまった。

他人のために他人のために他人のために。楽しませなきゃ笑わせなきゃ安心させなきゃ。明るく元気で話せてコミュニケーションを取れる人間でいなきゃ。

「そうじゃない」私には、価値などない。

そうして全てを差し出しても、何も与えられない日々に、もう疲れてしまった。

一緒に美味しいご飯を食べてそれで最高って、どんな感じなんだろう?そう「できた」ときもあった気がするけれど、いつもどこかでだめになってしまう。

自分を差し出す以外につながり方を知らない私は、ここからどう他人と付き合っていけばいいのか、分からなかった。

だから本を読んで、考えて、悩んで、泣いて。数年そうやって過ごして、気づいた。

私は他人ばかり大事にして、自分を全く労ってこなかったんだと。すり減らしてきたんだと。「そうじゃない」私の声を無視して、ずっと無理矢理取り繕った私を生きてきたんだと。

そうして摩耗した心が、今悲鳴を上げているのだ。

私はもう自分を、他人に差し出さない。差し出したくない。他人との繋がりや承認や愛情が欲しくなったときは、寝て、食べて、まずは自分とつながる。

まだ手探りだけれど、戻ってしまうこともあるだろうけど、自分で苦しさの原因に気づけたから、きっと大丈夫。

自分を、自分で大事にできる、私になろう。

#あたらしい自分へ #エッセイ

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