【鑑定士】この映画を見た人全員が救われるように分析を書く。
記事のタイトルは大げさではありません。まだ作品を見ていない方は、ネタバレを避けるためにも、見てから記事を読むことをお勧めします。
手袋の象徴性
鑑定士として働いているため、主人公は作品に触れる時には常に手袋をしている。しかし、彼は私生活でも手袋をしていて、これは彼の「人に触れる恐怖心」を示す。
彼が唯一手袋を外すのは、「クレアに触れる時」だけ。ここに彼が自分の恐怖心に打ち勝って彼女を信用したことがわかる。
劇中のセリフの意味
このセリフを覚えているだろうか。意味としては、贋作(偽物)の中にも作者独特のサインなどが隠されているというもの。冒頭で贋作の瞳の中にVのサインを見つけたシーンがありましたよね。これはクレアとヴァージルが壁越しにお互いの目だけを見て会話していたのと重なるのですが、いわゆる「瞳を見れば本物かどうかわかる」ということです。
鑑定士として長年「本物」を見抜いてきた彼が、「彼女の瞳を見ても偽物と見抜けなかった」という皮肉です。
彼の目を曇らせたのは、間違いなく「愛」です。恋は盲目とはよく言ったものです。その感情によって彼は「贋作」を「彼の人生」という高額な値段で買ってしまったのです。
作中でも「結婚はオークションと同じ"The Best Offer"(最高出品)かどうかは最後までわからない」というセリフがありましたよね。だからこの映画の原題はThe Best Offerなんです。邦題は相変わらずセンスがありません。
利用されるドワーフ
映画の最後に、向かいのカフェにいたドワーフの女性が本当の家主であることが明かされます。ここでは、ロバートが組み立てていた機械人形「オートマタ」との一致があります。昔から機械の中にドワーフを隠して「操り人形」としてきた人々。今回も、彼女を騙すことで、操り人形として搾取していることがわかります。
まとめ
この作品は、真面目に生きた男が、最後の最後で騙されるという映画です。
彼の人生が否定されたも同然です。
絶望とはきっとこういうことなんだと思います。
最後に参考になった記事を貼っておきます。(この記事を書く時に読んだわけではありませんので、多少の齟齬はあるかと思います。)