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令和時代の情報検索手法

こんにちは。

マーケティング視点で読解力を高めるノートでは、小さくてもファンを増やす仕組みと仕掛けがわかると題し、デジタルネイティブ時代の情報発信を主たるテーマとし、中小企業や個人事業主がオンラインチャネルを活用する際の前提となる、情報接触態様の変化を読み解き、IDやSNS、そして口コミを科学して理解するノートをお届けしてまいります。

第1章 デジタルネイティブ時代の情報接触
(2)令和時代の情報検索手法

第2章 知らぬままに置いてけぼりになるリスク
第3章 生活者理解のために必要ないくつかのこと
第4書 口コミが生まれる、広がる、その理由を科学
第5章 ファンを作るために必要なことはひとつだけ
第6章 オリジナリティとどこにもないストーリー
第7章 ファンを増やす、共感を得る仕組みと仕掛け


1.世代を尋ねれば、情報検索手段が分かる


前節では、メディア接触の変化をテーマに、スマホとSNSが一般化したという時代の変化とメディア接触を中心とした世代別のメディア接触態様の違いを見てまいりましたが、今節では、情報取得手段やスタイルにフォーカスし、令和時代の情報検索を読み解いてまいりたいと思います。

私は、定期的に大学にお邪魔し、主にマーケティングや事業会社におけるビッグデータやAiの活用実態について講義をさせて頂く機会を頂戴しております。その講義中に、情報検索手段について、ご質問を差し上げ、挙手をいただくと、世代別の情報検索スタイルの違いと変化の様が、如実にわかります。

「普段、主に情報収集をする際に使う手段はなんですか?」という質問に対し、大学の学部生とマネジメントスクールに通う大学院生では、まったく異なる回答が出てきます。

学部生の回答:「TwitterやInstagram」
大学院生の回答:「Googel」

このような違いが出てくる背景として、大学の講義(学部生向け)は、参加される学生が10代後半から20代前半であり、大学院では主にマネジメントスクールの受講生に対してお話をさせて頂くため、そのご参加者は既に社会人としてご活躍されている方が中心の30代~40代の方になるからだと考えています。

私も、普段の情報集手段は、もっぱらGoogelであり、「Google先生」と呼ぶほどで、パソコンを使うときも、スマホを使うときも、Googelを主たる検索手段として利用しているため、最初はにわかに信じられなかったのですが、実際に学部生に挙手してもらうと、おおよそ半分程度の学生は、主たる検索手段がSNSであると、回答してくれます。

このような世代別の情報検索手段の相違は、調査会社が行ういくつかのリサーチの中でも明らかになっていますので、2つのリサーチ結果を簡単にまとめた以下の図表をご覧ください。

検索手段

左手は、「しらべぇ編集部」が全国20〜60代のSNSを利用している男女517名に対し、「ネットでの検索について」という調査を実施した際の結果の抜粋になります。

こちらの調査結果では、10代が含まれていないのですが、世代間の傾向を見れば、「GoogelよりもSNSで検索することが多いほうだ」と答える10代の割合は、20代よりも多く、限りなく5割に近い数字になるのではないかと思います。これは、大学の学部生向けの講義で私が感じている割合と相違がありません。

続いて、LIDDELL株式会社/ECzineの調査から、10代に「最近検索によく使うのは何?」と尋ねたリサーチの結果からの抜粋になりますが、10代の情報検索手段はGoogelやYahoo!といった検索エンジンよりも、TwitterやInstagramといったSNSを利用する割合の方が多くなっております。

検索エンジン<SNS、という情報検索スタイルは、現在、高校3年生のデジタルネイティブ世代よりも若い世代にも共通する世代を表す特徴であり、今後、我々の年代が、デジタルネイティブとのコミュニケーションや、情報伝達方法を企画検討する際の前提与件であり、大きなヒントになるのではないかと考えています。

2.検索窓からハッシュタグ(グルる→タグる)


前項では、特に若年層、デジタルネイティブ世代の情報検索が、GoogelやYahoo!の検索窓から、Twitter、InsttagramといったSNSにシフトしている、という傾向をご紹介しましたが、TwitterやInstagramを使い、情報検索を行う際の特徴は、ハッシュタグの利用にあると思います。

ハッシュタグとは特定のワードの直前に「#」を半角入力することで、情報を表す「タグ」となったキーワードのことを指します。本来は単なるテキストデータやキーワードですが、ハッシュタグを付けることで、クリックしたりタップしたり出来るようになるため、同じハッシュタグがついたキーワードや投稿を見たり、調べたりすることが簡単に出来るようになります。

私が考えるハッシュタグの特徴は、Googleのキーワード検索よりも、素早く自分の知りたい情報に辿り着ける、または、集められるところにあります。情報を発信する側が、発信した情報の性質や特徴を表すタグを予め付与していることから、利用者の興味や関心に近い、あるいは、調べたいことがピンポイントに反映された情報だけがまとまっている場所までいち早く到達することができます。

また、一度辿り着いたハッシュタグを用いて、利用者の興味を持っているキーワードで、集めたい、調べたい情報に、いつでもアクセスすることができる他、人を検索する、明日行きたいスポットを検索する、今食べたいものを調べるという検索も含めて、このタイミングで知りたいこと、集めたい情報を、非常に短時間で、手早く収集することができるわけですが、この行為を私は、SNSを用いて「情報を手繰り寄せる」行為だと、理解しています。

2018年頃から、世間的にも、「ググる」、という言葉と対比する形で、ハッシュタグで「#タグる」という表現をもって、情報検索行動を表現するようになっていますが、私の考える、令和時代の情報検索スタイルの特徴を、以下の図表にまとめましたので、ご覧ください。

タグる

今後、デジタルネイティブ世代が増えていく中で、平成から令和の時代にかけて発生している、情報検索スタイルに関わる世代間のギャップは、

30代以上「検索する=Googleで調べる(ググる)」
20代以下「検索する=#ハッシュタグで手繰り寄せる(タグる)」

というスタイルの違いとして、理解できるのではないかと思っています。私も、前世代のアナログ世代として、デジタルネイティブ世代の情報検索スタイルを真似て、TwitterやInstagramの「#」を利用するようになり、その情報収集にかかる素早さや、情報量、たどり着いた先の情報品質を理解し、用途目的に応じ、GoogelとSNSを使い分けするようになっていることを、併せて報告申し上げます。(何事も挑戦、勉強が大事ですね!)

3.SNSで手繰り寄せるコンテンツ


続いて、デジタルネイティブ世代、特に女性が、TwitterやInstagramを用いて、「#」ハッシュタグを操り、日常で手繰り寄せている情報にはどのようなものがあるのでしょうか?

ここでは、株式会社インテージの自主企画調査結果を拝見し、SNSサービスの利用目的をみていきたいと思います。まずは、以下の図表をご覧ください。

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こちらのリサーチにある、「SNSサービスの利用目的」を確認すると、同じく「#」を利用して情報検索ができるSNSである、TwitterとInstagramで、活用のスタイルが異なっていることが見えてきます。

例えばですが、Twitterは「趣味に関する情報収集」や「話題・ネタに関する情報収集」、Instagramでは「好きな芸能人・著名人の投稿チェック」や「行きたいところ、食べたいものに関する情報収集」といった目的で利用者が多くなっています。

このリサーチを拝見すると、デジタルネイティブ世代は、SNSのサービスが持つ機能的な特性の違いを前提とし、自信の情報収集目的に合致した手段やメディアを選定し、使い分けをしている、ということが垣間見えてきます。

私の考える、両サービスの機能から見た特徴の違いは以下の通りです。

Twitterには、短文(140字)、匿名のテキストメッセージ、という機能特徴があり、即応性、リアルタイム性、広範に伝播する力、が優れています。

Instagramには、実名(のアカウントが多い)、画像が中心で情報量が多い
、という機能特性があり、ビジュアルベースのわかりやすさ、情報の正確性、という利点があります。

そのため、例えばInstagramで「好きな芸能人・著名人の投稿」をチェックするのは、実名の信頼があるからだと理解できますし、「行きたいところ、食べたいものに関する情報収集」で利用するのは、旅先の観光地や、食べたいもの、参考にしたいコスメ系インスタグラマーの化粧方法を参考したい、といった目的に従うと、ビジュアルを通じた情報収集が適しているからだと考えられます。

4.「#」ハッシュタグ検索かタイムラインか

もう一つ、デジタルネイティブ世代による、SNSの使い分けの特徴を確認するため、2018年に株式会社コムニコが「女性のSNS利用に関する調査」として行ったリサーチの中から、「TwitterやInstagramでの主なハッシュタグの使い方について教えてください」という設問の回答を見てみたいと思います。

違い

この結果から、前項で、Twitterを用いた情報収集でスコアの高かった「趣味に関する情報収集」や「話題・ネタに関する情報収集」について、デジタルネイティブ世代はどちらかと言えば受け身で情報探索をしているのではないか、という仮説を立てることができそうです。

つまり、「趣味に関する情報収集」や「話題・ネタに関する情報収集」の方法は、Twitterのタイムラインに流れてくる情報を受け取るという受動的なスタイルであり、フォローをしている方が発信したり、リツィートしている情報に網をかけておくという用途で、Twitterを使っているということが見えてきます。

一方で、Instagramは、より明確な目的を持ち、ピンポイントに情報を探索するというシーンで使われることが多く、Twitterに比べれば、より能動的に利用(ハッシュタグで検索)しているという、傾向が明らかになってきました。

両メディアの使い分けを、整理すると


Twitter:広く、浅く、興味関心の範囲に網を投げておく
Instagram:焦点を合わせ、ピンポイントに釣り上げる


~ために使う手段、という形で、大まかに、その傾向をまとめることができそうです。

第1章(2)令和の情報検索手法では、一言にSNSと言っても、デジタルネイティブ世代は、その目的に応じ、選択するメディアや、情報取得、検索のスタイルを使い分けている、という点を読み取りました。

第1章(3)SNSが検索手段として適している理由、では、Googel検索や、従来型の口コミサイトと比べ、SNSが優れていると考えられる理由や、デジタルネイティブ世代の思考特性について、ご案内したいと思います。

ここまで、ご一読いただきありがとうございます。マーケティング視点で読解力を高めるノートでまとめた電子書籍のコンテンツも、ご覧いただけたら、幸いです。

 マーケティングの視点で見聞きし、読み解き、整理、体系化したこと事を発信しています。発信テーマ別に目次を用意していますので、気になる記事がありましたら、ぜひご覧ください。


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