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WISCを受けるベストなタイミングとは?

知能検査(例えばWISC-V)は子どもの認知能力を理解し、適切な支援を計画する上で非常に有用ですが、検査結果は子どもの状態に大きく影響されます。ここでは、検査を受ける最適なタイミングについて詳しく説明します。

1. 子どもの心身のコンディションを整える

知能検査では集中力やモチベーションが求められるため、以下のようなコンディションが結果に影響を与えることがあります:
睡眠不足
子どもが十分な睡眠をとれていないと、注意力や記憶力が低下し、実際の能力を十分に発揮できない場合があります。
健康状態
発熱や風邪などの体調不良時に検査を受けると、疲労や不快感が影響し、正確な結果が得られないことがあります。
ストレスや不安
初めての環境や「テストを受ける」というプレッシャーが子どものパフォーマンスに影響することがあります。

おすすめの準備:

• 検査日には普段どおりの生活リズムを保つ
• 検査前日にしっかり睡眠をとらせる
• 体調が万全でない場合は検査日程を変更する(なるべく午前中が推奨されます)

2. 子どもの気持ちがリラックスしているタイミングを選ぶ

検査は長時間にわたり集中力を要することが多いため、子どもがリラックスした状態で臨むことが重要です。検査当日の朝、子どもが慌てたり緊張しすぎたりしないように心がけましょう。
親からの声かけのポイント
「先生は〇〇くん(ちゃん)がどんなことができるかを知りたいだけだから、できる範囲でやってみればいいよ。」と伝えると、プレッシャーを感じにくくなります。
事前に場所や流れを伝える
「こんな部屋で、こんな風にお話をしたり、書いたりするよ」とイメージを持たせることで安心感が生まれます。

3. 学校や家庭での状況を考慮する

日常生活や学習環境に変化が生じる時期は、子どもが気持ちの面で落ち着いていない可能性があります。このような状況では、検査の結果がその子どもの実力を正確に反映しないことがあります。
また、抑うつやテストへの不安が強い子どもは、「失敗したらどうしよう」と感じやすく、緊張がパフォーマンスを妨げることがあります。また、自信がない子どもは、挑戦する気持ちを失い、途中で諦めてしまう可能性もあります。
子どもによって心が安定しやすいタイミングは異なります。親や先生が日常の様子を観察し、比較的穏やかに過ごせている時期を選ぶことも大切です。タイミングの見極めも専門家と相談してみるのも良いでしょう。

おすすめのタイミング:

• 子どもが生活リズムを整え、安定した睡眠をとれているとき。
• 大きなイベントや行事が一段落し、気持ちが落ち着いている時期。
• 長期休暇中や、学校生活が比較的穏やかな時期。


4. 子どものペースに合わせた計画を立てる

検査を受けることに抵抗感を示す子どもの場合、急いで検査を行うのではなく、事前に準備を整えることが大切です。
人や場所に慣れる
何度か検査を受ける場所に行くことで、検査者やその場所に慣れさせます。
心の準備をサポートする
不安を減らすために「試される場」ではなく「新しいことを知る場」と伝える。
 リラックスできる遊びや活動を検査前に取り入れる。

5. 再検査のタイミングも考慮する

知能検査は通常、短期間での再受験は推奨されません。これは、一度受けた検査内容を覚えていることで、正確な結果が得られない可能性があるためです。
• 一般的には、1年以上の間隔をあけて再検査を行うことが推奨されています。

まとめ

WISC-Vを受けることで、たとえ数値が必ずしも完全に正確ではない場合でも、子どもの得意な領域や課題となる部分について重要なヒントが得られることがあります。そのため、検査の結果をどう解釈し活用するかが鍵となります。

ただし、検査を受けるタイミングは非常に重要です。子どもの体調や心理的な安定、学習環境の状況によって結果に影響が出る可能性があるため、検査の意義を最大限に活かすためにも、専門家と相談しながら最適なタイミングを見極めましょう。

知能検査を受ける場合は、子どもが安心して検査を受けられるよう、負担を軽減しスムーズに進めるための環境づくりを心がけましょう。親としてできるサポートが、より良い検査体験につながります。


WISC-Vをはじめとする知能検査は、子どもの能力を理解するための重要なツールですが、それだけでは充分ではない場合もあります。検査結果をどのように解釈し、他の評価や観察と組み合わせるべきかについて、詳しく解説した記事がありますので、ぜひ、こちらのリンクからご一読ください!


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