客の目線からわかること
ZINEの販売ブースに座っているときは、極力スマホを見ないようにしています。
スマホを見ないで、なるべく、人の目線を見ています。もちろん、じろじろとは見ないけど。
じろじろ見ることのないように、遠~くを見るようにしながら、視界の端にお客さんを捉える、という器用なことをしています。
あと、「私は地蔵。私は地蔵」と自分に言い聞かせて座っています。お地蔵さんが涼やかな顔で通り過ぎる人々を見守るように、じろじろ見ることなく涼やかに、お客さんの目線を追っているわけです。
ブースの前を通る人の目線や、立ち読みするお客さんの目線からわかることはいっぱいあるのです。
たとえば、ZINEが全然売れない場合、お客さんの目線が全くブースに留まらないのか、ある程度は目線が留まっているのかを見ています。まったく留まらない場合は、ディスプレイに何か問題があるので、早急に対策を打たねばなりません。
また、お客さんを見てると、「こういうタイプのお客さんは全く目線が留まらないな。まったく興味がないんだろうな」ということがわかってくる。
となると、宣伝をするにも、目線が留まらないタイプの客層に訴えかけても無駄、ということになります。それよりも、興味を持ってくれる層を狙って宣伝をするのが効果的です。
さらに、立ち読みしているお客さんの目線からもわかることがあります。
僕の作る民俗学エンタメZINE「民俗学は好きですか?」は、vol10までは毎回、その号の世界観を表すポエムみたいな文章が1ページ目に書いてあったのだけど、
立ち読みのお客さんの目線を見ていると、どうも1ページ目は読まれてないみたい。
くっそ~。毎回一生懸命考えているんだけどなぁ。
なので、第11号からはポエム(笑)をやめて、目次を書いてます。目次ならさすがに見るでしょう。
という感じで、お客さんの目線を追っていると、取捨選択が見えてくるわけです。
この部分には目線が留まってくれないから、いっそやめて別のことにしてみよう、とか。
この人たちは目線が留まらないから、訴えかけるのはやめよう、とか。
ぜんぜんお客さんの目線が留まらないから、今のディスプレイを見直そう、とか。
お客さんの目線を追っていると、無駄なことをしなくて済むわけです。
何をやるべきで、何をやらなくていいか、それがお客さんの目線からわかるのです。
ZINEの販売イベントは、作品を売る場というだけでなく、マーケティングの場でもあるのです。