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鉄道会社の魅力を決定づける5つの要素

鉄道会社のブランド力、鉄道収入を決定づけるものを考えていると5つの要素にまとめられた。

01. 顔となる大都市の魅力度が高い

阪急であれば梅田、
近鉄であれば阿倍野、
南海であれば難波、
阪神であれば神戸三宮、
東急であれば渋谷
…というような顔となる都市の魅力度は鉄道会社のイメージに直結する。
そしてそういう都市の魅力度というのはつまり、「休日に出かけたくなる」ということだと思う。
「休日に出かけたくなる」を紐解くといろんな要素があると思うが、重要なのは①買い物しやすい館を作る ②都市のブランディング ③魅力的な都市景観がある(ランドマークの下の広い空間での人々の賑わい)だろう。
この②で東京と大阪は大きく異なる。
東京は銀座、渋谷、六本木・・・ 都市によって色が明確に異なるのである。その都市を訪れる人の層が差別化できている。
大阪はすべてが梅田に集約されているのである。若者は茶屋町、学生〜働き世代はルクア、大人は阪急百貨店というようにあらゆる層にとって買い物しやすい館が揃っている。
他の都市の差別化(=ブランディング)がきちんとできていないのだ。潜在的な特色や差異化要素はあるのに、そのディレクションができていない。
(※しかし東京も近年の大規模再開発によってどこにもありがちなチェーン店を収めた商業ビルばかり建ち、’都市の色’が薄れて均質化していっているような気はする)

02. 沿線に目的地が豊富にある

観光地、オフィス、大学・・・ 沿線にこれらをどれだけ有しているかは、鉄道会社のポテンシャルを大きく左右する。何も努力しなくとも、沿線外から人がやってくるからだ。
あとは「色のあるまち」を持っていることも重要だ。
大都市ほどの規模ではなくとも、吉祥寺や代官山など特定の層に刺さるまち。
「中央線沿い」などと路線自体に色があるように語られる線もある。
ここでもやはりブランディングディレクションが重要だ。

03. 沿線の住環境が良い

人がどこに住みたいかを考えるとき、結局のところ重要なのは
・勤務地までのアクセスが良いこと
・治安がいいこと
・家賃が高すぎないこと
・駅の近くに生活機能が集約されていて暮らしやすいこと
などであろう。
したがってこのあたりが満たされているまちをどれだけ沿線に保有しているかは沿線人口を増やすことに直結する。

04. 電車に乗ること自体のエンタメ性が高い

車両の外観の造形や内装、車内で受けるサービスなどに特別感があることは
電車に乗るという体験を目的として沿線外からも電車に乗ってもらえる要因になる。
そしてその”特別感”が突出していれば、世間からのその鉄道会社へのイメージを形成することもできる。
(特急車両で”特別感”を作り込むのもいいが、普通車両でも特別感を作れていると会社のブランディングに大きく寄与する。)
鉄道会社のブランディングで最も重要なのは鉄道車両だが、改札など駅務機器のシステムが最先端であることや、駅舎がかっこいいことなども電車に乗るワクワク感に繋がる。

05. 電車に乗ることの快適性が高い

毎日電車を利用する人にとって、ストレスが少ないこと。

視覚:汚らしい、古い、暗い、広告物やサインでごちゃごちゃしている
聴覚:アナウンス音の音量がうるさい、広告の放送がひっきりなしに流れている、列車の走行音が不快、アナウンスの音質が悪い
触覚:電車の揺れが激しい、暑い・寒い(待ち時間が長い)
嗅覚:車内が臭う

五感に関わるこういった要素に当てはまっている電車は、毎日乗るのが苦痛になる。
逆にこれらへの配慮が行き届いていると感じる鉄道会社は、サービスも良いのだと期待できる。

まとめ

01〜05を鑑みると、やはり鉄道会社で重要なのは「デザイン力」ではないかと思う。
01〜03は「まち」の要素、04〜05は「電車」の要素 である。
「まち」の要素において重要なのはまちのブランディングのディレクションである。まちの色をデザインすることである。
「電車」の要素でも重要なのはエンタメ性(特別感)と快適性をデザインすることである。

もちろん列車の遅延が多いとストレス要素になるし、何か事故が発生すると鉄道会社の信用は失墜する。そういうマイナスを生まないためには保線や電力、輸送や駅の現場力が非常に重要である。
しかしそれらは世間からは「できて当たり前」と認識されてしまうのが現実である。これからの鉄道業界では、新たな価値を社会に対し生み出していかなければならない。
そういったプラスとなる要素、ポジティブな価値を創造していく上では「デザイン力」なしではこれからの鉄道は語られないように思う。


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