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好きなことを仕事にしろとは言わないけど、挑戦くらいしても良いよね

世の中には、「好きなことを仕事に」と「好きなことは仕事にしない方が良い」という正反対の意見がある。

私はといえば、高校生の頃もっぱら後者だった。
好きなことが仕事になると楽しめなくなるに決まってる。それに何より、自分より才能のある人たちと戦える気がしなかったからだ。

だから、小学生の頃から好きだったイラストは、仕事にするという選択肢からさっぱり除外された。

その判断は果たして正解だったのかと言われれば、そんなものは分からない。好きを仕事にした場合を知らないから、当然だ。

ただ、やってみれば良かったなという気持ちはある。

少し前、美大出身の方のお話を聞く機会があった。
「もうね、すンごい人たちの集まりなんですよ。入学してすぐ周りが『○○年代で好きなデザイナーは?』『自分は〇〇かな』みたいなやりとりしてて。高校生の頃は『私そこそこ絵上手いし、やっていけんじゃない?』って思ってたんですけど、美大に入ったらあっさり劣等生になりました」

でも、と彼女は続けて「自分しかできないことをやり続けました。多分、同級生からは『美大入ってまで何そんな遊びみたいなことしてるの?』って見られてたと思います」
彼女は現在、大手企業をクライアントとするデザイナーだ。

アラサーと呼ばれる歳に、新たにやりたい好きなことを見つけた。ありがたい。「好きなことがわからない」と悩んでいた新卒の頃に比べたら、大きな進歩だ。

次の「好き」は文章だった。本当に単純で笑ってしまうが、ひょんなことから文章を褒められ、のめりこんだ。今は絶賛ライター転職活動中だ。

一時期は書く環境に身を置いていたから、毎週2000字の課題を提出しながら隔週で3000字の記事を書くなんてこともやった。

だけど気付いたらその環境が無くなって、めっきり書かなくなり、本業でわずかな執筆業務がくると「他の業務で手一杯なのにやめてくれ」とさえ思うようになった。

人はやらない言い訳を探すのが上手いとよく言うが、私は言い訳探しのプロフェッショナルだ。(なんの自慢にもならない)
「文章は技術じゃないって、その道のプロも言ってたし」「色んな文章読んでインプットしてるし」「転職活動で忙しいし」

うだうだずるずる、書かない日が何日も続いた。

そんな中、昨日は久しぶりにがっつり文章と向き合った。ほぼ丸一日、Web記事を書く業務に費やした。

成果は、下調べ+構成+執筆で、7時間かけてたったの1800字弱。1文字1円としても、日給1,800円。時給にするとたったの4円だ。

4円って。思わず「4円 買えるもの」でググってしまった。
デイリーポータルZの「10円以下で買える物探し」という記事によると、ナットが1つ買えるらしい。

未経験のくせに、やらない言い訳ばかり探していた自分が恥ずかしい。

思えば、時間を気にして文章を書くということをしていなかった。
本業でも、副業でもセミナーでも、書くのは通勤時間などのスキマ時間だったし、休みの日に納得いくまで時間を費やして書いていた。

いざ業務として1日執筆に費やしてみると、分かったことがある。
まず下調べ・構成・執筆時間をどう分配すべきかが分からない。そして筆が止まっても、「続きは明日」とか「ちょっと違う作業」という方法が通用しないので、自分の脳みそと対峙し続けなければならない。

私がこれからやろうとしていることは、かなり努力が必要になると思う。
自分より遥かに技術がある人たちと同じ土俵に立つ。言い訳しないで自分の足りないところを埋めていく。だけど、ベテランに勝とうとあがいたってしょうがないんだから、自分だからできることを見つける。

多分、リベンジマッチをしたいんだと思う。才能ある人たちと渡り合うのが怖くて「好きなことは仕事にしない方が良い」という選択をしたあの頃を、やり直したいのかもしれない。
イラストを仕事にしようと挑まなかったからこそ、こんなにも文章に執着している。

好きなことを仕事にすると何が起こるのだろう。その判断は正しいのだろうか。少なくとも、ネットで得た情報で知ったつもりになるよりは、自分で動くのがいちばん確実なのは間違いない。

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