コノカゼ
学園祭が近づき 準備も大詰めになってきた頃、 彼と私はだいぶ話すようになっていた。 彼の当時の彼女は嫉妬が激しかったため、 恨まれない程度に仲良くしていた。 ある日の放課後、 どんな流れだったかは全く覚えてないけれど 2人でカラオケに行くことになった。 彼女にバレないか不安で仕方なかったが、 カラオケの個室に入ってしまえば そんな気持ちはすぐどこかに消え去った。 だが、それと同時に新しい気持ちが芽生えた。 〝緊張〟だった。 彼氏以外の男子と2人でカラオケなんて もち
美容院という共通点を見つけた私たちは、 目が合えば話をする友人くらいになった。 それとほぼ同時期に、 学園祭に向けた準備が始まった。 私は裁縫が大の苦手だというのに、 どういうわけか仮装部門の責任者に選ばれ、 放課後は毎日衣装作りに悪戦苦闘していた。 そんな私を見兼ねて、 彼は衣装作りを手伝ってくれるようになった。 ミシンの下糸を巻く時には 必ず教室の片隅で本を読む彼を呼んだ。 「なんで何回言ってもわかんないの?」 と言いながら、 彼は呆れ顔でボビンを手にした。
高校3年、 彼は私たちのクラスにやってきた。 と言っても、転入してきたわけではない。 私のいたクラスは いわゆる〝ガリ勉クラス〟で 3年間殆どのメンバーは固定なのだが、 成績の良し悪しに応じて 毎年2、3人入れ替わりがあった。 彼はそのうちの1人だった。 〝ガリ勉クラス〟には いないタイプの男子だった。 お洒落で何処か都会っぽくて、 「自分を持ってる」感じがした。 そんな彼のことが、私は最初怖かった。 下ネタで盛り上がる普通の男子たちのほうが よっぽどわかりやすくて関
私と彼の今の関係はというと、 「友達以下恋人未満」である。 恋人でないのは勿論のこと、 一応友達に近いものではあるはずなのだが、 普通の友達ほどの待遇は受けていない。 「都合のいい女」「セックスフレンド」 その辺に値するだろう。 これは彼が求めているわけではない。 私が進んでそのポジションにいるのである。 物凄くメンヘラな発言なのかもしれないが、 私はこの関係に満足している。 世間一般では悪しとされ、 元恋人同士にはよくあるこの関係だが、 ある種特別な存在であることに
去年の5月、 彼は私に別れを告げた。 あれからもう1年近く経つというのに、 私は、この未練がましい女は、 未だに彼の虜なのである。 ドラマティックで情熱的な恋でなければ、 涙を誘うような切ない恋でもない。 極々普通の、ふつうの、フツウの恋。 これは、 置いてけぼりになった女の、 情けないしょうもない話。 #片思い #未練 #女子大生