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【絵本 きつねのかみさま】

こうえんに忘れ物をした りえちゃんと けんちゃん。とりに戻ったふたりが、そこで出会ったのはだれだ?かみさまはだれ?

【並べて楽しい絵本の世界】

公園で遊んで、おうちに帰ってきたりえちゃんと けんちゃんが、おやつのケーキを食べています。たべおわったりえちゃんは、

あたし、なわとびのひもを 忘れたことをおもいだした。

とってくる!と立ち上がるりえちゃんに、「ぼくも いくよう」とむりやりケーキを口におしこんでついてくる けんちゃん。

ふたりで公園に戻ってみたけど、その木の枝には何もかかっていません・・・

そこに、風がふいてきて、こどもたちの楽しそうな笑い声が聞こえてきました。

何かを運んでくる風、子どもの声。
それは、なわとびをしている10ぴきのこぎつねでした。

みんなでなわとびをして遊んで、そらがももいろになった時、
「かえらなくちゃ」
「おもしろかったねぇ、またあそぼうね」と言って さよならの時間になります。

遊んでいたそのなわとびは、りえちゃんのものでしたけど、そのとき、ちいさいこぎつねがとびだしてきて

「それあたしのよ。さっき みんなで なわとびしたいって、きつねのかみさまに おいのりしながら あるいていたら、こうえんの きのえだに かけてあったの。あたしのなまえまで かいてあるの。ほらね」

さて、どうしましょう。


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ちょうど日本の神話を読んでいた私は、きつねの神様が登場するお話なのかな?と思っていました。

その神話の世界にひたっていると、この私たちが住む日本(ヤマト)は、小さな小さなものから、大きな自然まで、みーんな神様が宿っているのだな、と思えてきます。人のこころの中にももちろん。

りえちゃんの こころの中にも神様がいて、キツネの子たちにとっての かみさま だった。


りえちゃんを成長させてくれる神様のお使いはキツネだった、と読めます。


神様はさまざまなお使いをわたしたちに派遣してくれるので。

そして、人が成長していくときに、ふと風を感じることができたら、それは神様が自分を成長させてくれる瞬間に出会っているのかもしれません。

ちょっと変な深読みになってしまいました。
大好きな酒井駒子さんの描く絵がそうさせたのか、
数々の名作の書き手である あまんきみこさんの やさしさが染みたから?

ともあれ、どんなにおとなになっても、人のたましいは成長していくものなんだ と思います。

ちいさな子どもたちが、ふと風に耳をすましてたたずむ姿に、見とれることがあります。
そういう瞬間にきっと人は、その心の容器を大きくしていくものじゃないかと思います。

「きつねの りえちゃん」と「にんげんのりえちゃん」の
心の交歓がすばらしく表現されていました。

とても悲しいお話しですが、あまんきみこさんのたましいは こちらの絵本からずっと語られ続けているのだと思います。
あわせて読んでみていただきたい絵本です。




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s.suzuki
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