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【絵本 にぐるまひいて】生きることの基本を忘れずににいようと思う
【並べて楽しい絵本の世界】
糸井重里さんが、高橋源一郎さんとの対談の中で、絵本について、こんなことを言っています。
たぶんさ、絵本って、一種の必要悪なんじゃないかという気もするんだよね。ほんとうに地道にやっていきたいと思う人のためには、足を引っぱる絵本が最高なんだよ。”地道に生きないでね”と言っているような本が。逆に、地道に生きないぞ、という人に対しては、”地道に生きなさい”という本が登場する。そう思うと、絵本は、なんかバランスをとるための薬みたいな気がするな。(対談集 「絵本のこと話そうか」KTC中央出版)
牛を育て、羊を飼育し、食べるものも生活用品も、何もかもが手づくりの農家の生活としごとについて、語り継がれてきた話を、ドナルド・ホールさんがやさしいおはなしにしたものです。
自分で本を読めるようになった頃に、アメリカの古き良き時代の、「開拓精神あふれる大家族の物語」に一時的にハマったことがあります。どれも、それぞれに素晴らしい作品でしたが。
おとなになって読みかえしてみても、当時のワクワク読み進んでしまう感覚は、よみがえってこなくて、どこがズレたのかな?と思ったものです。
それでも、この「にぐるまひいて」という絵本にはその感覚のズレがありません。そこに描かれているものが、とてもシンプルで、加えてバーバラ・クーニーさんの美しい絵がそうさせてくれるのだと思います。
私は東京に暮らしているので、このような生活とは程遠い生活をしています。すべての物をお金を払い、もしくはpaypayとかネット通販でいとも簡単に購入してしまうのですから。
この絵本の中で生きている一家は、一年かけて、大人もちいさな人も、ものをつくり、それをおとうさんが荷車をひいて、町へ売りにいきます。
ほんとうに、最後には荷車をひいていた、牛も売って、かぞくのために最小限の必要なものだけを手に、ながい道程を岐路につきます。
そして、また一年をはじめるのです。若牛とともに。
便利な生活に慣れてしまっている、都心に住む私には、とても今、このような生活は、できないと思いますが、永遠のあこがれを繋いでくれる絵本です。バランスをとるための薬、絵本というカタチの、じつに良いところ。そう思います。
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