パトリシア・マズィ『Travolta and Me』トニー・マネロと私
大傑作。アルテのテレビ・シリーズ"彼らの時代のすべての少年、少女たち"のパトリシア・マズィ篇。物語は『サタデー・ナイト・フィーバー』全盛期の70年代後半、パリでパン屋を営む一家の長女クリスティーヌの週末を描いている。彼女はジョン・トラボルタに夢中だったが、バスの中でニコラという青年に靴紐を抜き取られるという衝撃的な出会いをしたことで(まるで跪いた騎士と靴を差し出す姫のような出会い)、彼女の中のジョン・トラボルタはニコラに取って代わられる。しかし、クリスティーヌはニコラが"バスに乗ってきた三番目の娘とヤる"という賭けで近付いてきたことを知らない。興味深いのは映画の半分以上がクリスティーヌの労働に当てられているということだろう。確かに『サタデー・ナイト・フィーバー』も労働者の欲求不満に根ざした物語だったが、本作品では両親が旅行に行く間パン屋の店番を任されたクリスティーヌが、散々キレ散らかしながら業務を最適化していきながら、親友カリーンをパシることで、パン屋から一歩も出ずに物語を引っ張っていくのだ。そして、労働からの解放と性の解放(見事な大爆破!)を同時にやってのけた後、辿り着いたスケート場で当たり前のようにディスコダンスが氷上のダンスとして回収されるのが素晴らしい。
・作品データ
原題:Travolta et moi
上映時間:69分
監督:Patricia Mazuy
製作:1994年(フランス)
・評価:90点
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