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カール・テオドア・ドライヤー『The Bride of Glomdal (グロムダールの花嫁)』ドライヤー版ロミオとジュリエット

ドライヤーが好きすぎて堪らない人間からすれば、彼の少ない作品群を先に見てしまうか後までとっておくか非常に悩ましいところである。私は『裁かるるジャンヌ』『吸血鬼』を見て以降それ以外は見ないように努めいていたが、日本で円盤の出回っていない本作品は私の中のドライヤー神格化を進める鑑賞三作目として最適だったと言い切れる。

主人公トーレは奉公から戻り、経営縮小した家族の農場を引き継ぐ。若いエネルギーを使って河の反対側にある大きなグロムガーデン農場(奉公先)のようにしようとする。グロムガーデン農場の娘ベリットに恋をしていたがその父親オーラが金持ちのイェルムンと婚約させてしまった。結婚式が近付いて、ベリットはトーレとその両親と逃げ出そうと彼のもとにやって来るが病に倒れてしまい、トーレは自責の念に駆られる。オーラはベリットを勘当する。やがて夏がやってきてベリットは回復し、紆余曲折を経てオーラは彼女とトーレとの結婚を認める。嫉妬深いイェルムンは結婚を邪魔しようと両家の船を下流に流す。トーレは馬で河を渡ることにするが流され、ようやく岸に辿り着き、無事結婚する。

やはり字幕は少なく平易であり、ヒロインと社会規範との戦いという話はドライヤーっぽい感じもするが、前に見た二作の強烈なインパクトのあるショットなどは無かった(最後の流されるシーンの素早いモンタージュは中々だったけど)。やはり注目されてないだけあるなぁという感想を持ってしまうのは仕方がない。しかもラストは『東への道』まんま。ただ圧倒的に平和な空気感といい自然の美しさといいベリットの美しさといい、私の心に染み渡る要素はいっぱいあった。

ベリットが二階へ続く扉を閉めてその上でドタドタやるシーンと二人で帽子を回してるシーンが可愛すぎたから世界中の映画でパクって欲しい。私の切なる願い。

・作品データ

原題:Glomdalsbruden
上映時間:115分
監督:Carl Theodor Dreyer
公開:1926年1月1日(ノルウェー)

・評価:90点

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