マルコ・ベロッキオ『夜よ、こんにちは』実行犯から見たモーロ誘拐事件の裏側
大傑作。マルコ・ベロッキオ長編18作目。1978年3月16日、イタリア元首相アルド・モーロは誘拐された。当時のイタリアは極右と極左のテロ組織による衝突が断続的に続く"鉛の時代"という重苦しい時代にあって、モーロを誘拐した"赤の旅団"も極左テロ組織だった。この事件はイタリア人の心に消えない傷を残し、イタリア近代史の空白となって、今でも様々な本や論文が書かれ、証拠が出れば何度も再捜査が繰り返される、そんな事件らしい。本作品の主人公は"赤の旅団"で誘拐に関わるキアラという女性メンバ