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世界の(未)公開映画

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東欧映画、ロシア映画以外の未公開映画についてまとめています。最近は公開された作品も掲載しています。全ての記事をどこかに帰属させてあげたいという親心です。見逃してください。
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2022年9月の記事一覧

Sofia Bohdanowiczとその短編作品の全て

英語圏カナダ新世代の代表格として頻繁に名前を挙げられる監督としてソフィア・ボーダノヴィッチ(Sofia Bohdanowicz)がいる。彼女の作品は物質から感情や歴史をたどる作品、そして映画作家にとっての映画を詩人にとっての詩作と対比させて映像表現を模索する作品などが興味深いが多く、私とては当代最高の監督の一人だと思っているのだが、如何せん短編作品が多く一つの記事にしにくい。ということで、ここでは彼女の短編作品について書いていこうと思う。 『Another Prayer』(

Sofia Bohdanowicz『Maison du Bonheur』全ての物質と行為に歴史が宿る

ソフィア・ボーダノヴィッチ長編二作目。オードリー・ベナック・ユニバースには含まれない珍しい作品だが、映画に登場する経験自体は監督本人のものであり、本作品も後にユニバースに回収される。本作品は監督の友人の母親で、モンマルトルにある古いマンションに50年以上住んでいる占星術師のジュリアーヌ・セラムについて、彼女を訪問した際の記録である。ボレックスの16mmフィルムカメラで撮影されているが、撮影を始めた頃は使い方も知らず、予算も10000ドルで、フィルムは全部で90分しかなかったら