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世界の(未)公開映画

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東欧映画、ロシア映画以外の未公開映画についてまとめています。最近は公開された作品も掲載しています。全ての記事をどこかに帰属させてあげたいという親心です。見逃してください。
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2021年2月の記事一覧

ペレ・ポルタベラ『Nocturne 29』初期ブニュエル的前衛世界へようこそ

ポルタベラ初の長編作品。1959年に設立した自身の映画製作会社"フィルム59"はその年にカルロス・サウラ『The Delinquents』、マルコ・フェレーリ『The Wheelchair』を製作、前者がカンヌ映画祭で上映されたのをきっかけに会場でルイス・ブニュエルと出会ったポルタベラは彼をスペインへ招いて『ビリディアナ』を製作した、というのは有名な話らしい。その後もプロデューサーや脚本家として映画に関わりつつ、前年に製作した短編『Don't Count On Your Fi

マリア・シュペト『The Days Between (官能)』ベルリンの夜空の下で

当代最強の女優の一人ザビーネ・ティモテオの初期主演作品。『官能』という残念な邦題が付いているがこの際無視する。大学の食堂で働くリンは、ベルリンの兄夫婦宅に居候しながら恋人の家と職場を往来する日々を送っている。世界大会を間近に控えた競泳選手の恋人は朝から晩まで練習漬けで、リンには構わずに放置気味。そんな時、彼女は留学生として日本から来ていたコウジと出会う。二人の間をフラフラと漂い続けるリンとその刹那的な生き様が時間の空費として可視化される。 祖母が亡くなったというエピソードや