アレックス・ロス・ペリー『Queen of Earth』幸せな人間に不幸せな人間など見えていない
大傑作。想像以上に『仮面/ペルソナ』なアレックス・ロス・ペリーの長編四作目。鬱病だった父親を亡くし、恋人ジェームズにも棄てられたキャサリンは親友のヴァジーニアに連れられて彼女の別荘に赴くが、一年前にジェームズを含めた三人で訪れた記憶が蘇って逆に追い詰められていく。一年前の記憶と現在が交互に入れ替わるように構成されているのだが、ここでヴァージニアという女が妙にイカれていて、我々もキャサリンも彼女に頼るしか道が残されていないのに、ヴァージニアはキャサリンを慰めたかと思うと貶し始め