20240827

20240827
 アルフォンソ・キュアロン監督の映画『ROMA/ローマ』を観た。彼の故郷であるメキシコのコロニアで一九七一年に起きた、コーパスクリスティの虐殺(血の木曜日事件)を背景にした自伝的映画。自伝的と言っても、主人公は使用人として働く先住民族の女性クレオで、キュアロン監督はその使用人の主人である医者の両親を持つ家庭のスペイン系移民だろう。七〇年代という戦後三〇年は経とうというときにはっきりとした階級社会であるメキシコの内情にまず驚いた。
 付き合っていた彼氏との間に子どもができ、妊娠したことを告げるが、彼氏はそれを知り姿を消す。意気消沈したクルスは主人の婦人に妊娠を告げ、彼女は産婦人科医を紹介し彼女の面倒を見る。富裕層の白人と貧困にあえぐ原住民のあまりにもはっきりしたコントラストに人種主義の根深い問題を改めて考えさせられた。

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