20240128
一九七〇年代の連続企業爆破事件で指名手配されていた桐島聡容疑者と見られる男が神奈川県内の病院で発見された報道。末期の胃がんで最後は潜伏生活の中で密やかに死ぬのではなく、名乗り出ておきたかったということらしい。潜伏生活では土木員として働いていて、保険証を使わず病院でも自己負担していたという。この時代になって指名手配犯として、あの印象的な笑顔を見せていた彼が七〇歳という老人になって現れたということ自体は興味深い。ただ、彼を過剰に英雄扱いするのには違和感がある。これは安倍元首相暗殺事件の犯人の山上徹也の時にも感じたことだが、いくら殺人は犯していないとはいえ、それにつながる爆弾を用いたことに変わりはない。そのこと自体はきちんと批判するべきだし、彼らが犯罪行為の先に見出していた革命だって結局は成し遂げられないまま彼らはその人生を密やかに終えようとしている。彼らがやるべきだったのは、彼らの理想を現実可能な手段として社会変革を促す政治活動を地道に続けることだったのではないか。