20241019

 青木淳悟『四十日と四十夜のメルヘン』(新潮文庫)を読んだ。表題作は新潮新人賞で当時、選考委員で唯一今作を推した保坂和志が解説を書いている。彼によると、今作は単行本化して改稿され、さらに文庫化の際にも再度改稿が重ねられたそうだ。わたしが読んだ際にも? となった箇所について詳細に書かれていて、しかし、それで余計に混乱するような、とにかく掴みどころのない所が魅力なのだということは分かった。併録されている「クレーターのほとりで」は人類史という壮大なスケールを、神話や創世記などを用いつつ独自のセンスで創作した意欲作。どんどん筋から離れていくことに逆に快感を覚える稀有な作家だ。

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