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20240304

 パナソニック汐留美術館で開催されている「フランク・ロイド・ライト展」に行った。一八〇〇年代後半からプレーリースタイル(草原様式)の建築群やカウフマン邸(落水荘)など米国をはじめ、帝国ホテルや自由学園など日本や世界各地でモダニズム建築を代表する建築を手がけた建築家。展示会は十日までと終わり近くのせいか、平日の昼間にもかかわらずたくさんの人が訪れて混雑していた。
 展示はシカゴのアドラー=サリヴァン事務所に所属していた頃に担当した個人宅の設計図面から、独立して世界を代表する建築家となっていく彼の経歴を辿るように石膏の模型や自らが手掛けた家具、部屋の一部を再現した実物大レプリカなどが経路順に並んでいた。自然と人工物が折り重なるように共存する「有機的建築」を提唱した彼は日本の家屋や文化からも多大な影響を受けていて、浮世絵の蒐集家としても知られ、歌川広重の浮世絵などもあった。
 私生活では、不倫や使用人による一家惨殺事件などスキャンダルにまみれた感があるが、アリゾナ州に建築されたタリアセン・ウェストと呼ばれる自邸兼スタジオ、建築家を養成する学校のキャンパスの資料を見ると、イリノイ州で初の女性建築家となったマリオン・マホニーなどがここから輩出されていたり、スウェーデンの女性運動家でフェミニズムを牽引したエレン・ケイを米国で紹介したのが、ライトの不倫相手だったメイマー・ボートン・ボスウィックだったことなど米国におけるフェミニズム運動の庇護者でもあったことを知った。

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