ヒラ公務員欧州へ行く17 ~ ベネチア・ビエンナーレ ジャッポーネ編 ~
2015/9/18 fri イタリア ベネチア 晴れ
↑ 前回の記事はこちら。
ベネチア駅から歩いて街を散策し、途中バス替わりの船に乗り、世界最古の芸術祭、ベネチア・ビエンナーレの会場へと到着しました。
ふつう、芸術祭では国籍問わず作家ごとに展示スペースが割り当てられています。
↑ 香川県直島 草間彌生の作品(出典:ART SETOUCHI HP)
一方ベネチア・ビエンナーレ(VB)は趣が違い、展示する場所が国単位で決められています。参加国にはそれぞれ特定の建物が割り当てられ、そこに国代表のアーティストの作品を展示するという方式です。
優れた作品には賞も贈られるので、これはまさに芸術分野での国の戦い、代表戦なのです。VBが通称「美のオリンピック」と呼ばれるゆえんです。
普通、オリンピックなら数日は滞在して観て回るものでしょうけど、私には4時間くらいしか時間がありません。
なんでいつもこうなの。スケジュールの立て方完全に間違えた。無理。全部まわるの絶対無理。
それでも4時間で日本、韓国、ドイツをはじめ6カ国分は観て回りました。頑張ったでしょ?
いつも美術館に行くときはじっくり作品を観るため、立ち続けてて疲れるのですが、今回は外国にいて変なテンションになっていて、さらに長いこと罹ってた風邪からも解放されたからか、最後まで元気一杯でした。健康最高。
やっぱり日本代表の作品は見なきゃな…と思い日本館を訪れました。
↑ ジャッポーネ!なんとなく、「ジャパン」より発音が好きです。
日本代表の作品は糸、鍵、小舟を使ったものでした。作家は塩田千春、作品名は「掌の鍵」です。小舟が一隻置かれた部屋の天井に、無数の赤い糸が張り巡らされ、そこに無数の鍵がぶら下がっています。
鍵は世界中から集めたもので、実際に使われていたものだそうです。説明には、これらの鍵には人々の色んな記憶が詰まっている、それを抱きながら未来に進んでいく…というコンセプトが書いてありました。
部屋の壁にはこの鍵を提供してくれた人たちの写真がいくつか貼られてあります。ぼくがこれから生きててもまず会うことの無いであろうこの人たちも、どこかで確実に存在している(あるいは、していた)と思うと何だか不思議な気持ちになります。世界は見えないところの方が圧倒的に多く、果てしなく広く、深いんだなと。
作品はとても美しく、説明を読むまでこれは何だろう?と考える時間も楽しかったです。来場者の評判も高いように見えました。
(これは2015年のベネチアでの出来事です。2019年に六本木の森美術館で塩田千春展「魂がふるえる」が行われ、大変な盛況を博したようです。こちらも行きたかったです)
とにかく時間が無いため早足で日本館を立ち去ります。会場は長崎市にある水辺の森公園くらいの広さです。
まだ見ぬ世界の作品に触れるため、あふれる好奇心を抱きしめながら、次の場所へと向かいました。
↑ 掌の鍵
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