巨人南アフリカに立ち向かう日本代表が、ラグビーの母国を味方にしてしまった話。(HKO 第29話)
2015/9/19 Sat 18:00 イギリス ブライトン ファルマースタジアム
ラグビーワールドカップ2015 南アフリカ代表 vs 日本代表
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南アフリカ側がまだ楽観する中、後半が始まりました。
しかし試合は変わらず一進一退です。
南アフリカが突き放したと思えば日本も粘り差を縮める。そんな状態が試合を通して続きました。
中々差が広がらないうち、南アフリカが着実に点を積み重ねる戦法を取り始め、それに対しブーイングが起こります。戦い方が強豪らしくなく消極的だからです。
南アフリカ側の苛立ちは次第に募っていきます。
時間が進み、試合の終わりが近づくにつれ、スタジアムの雰囲気が徐々に変わっていきました。
「まさかそんなこと有り得ない…」から、「まさか」が起きると。
そんなとき再び沸きあがったジャパンコール。
前半に冷やかしまじりに聞こえたものとは明らかに違います。
「ここまで来たらやれ!」
「奇跡を起こせ!」
勝利を信じ背中を押すものへと変わっています。
ジャイアントキリングが起きづらいこのラグビーという競技。この競技を生んだ、ここイギリスの観客達からの本気の声援が、アジアの一国に送られます。
すでに南アフリカのホームの雰囲気はなく、完全に日本がスタジアムを支配していました。
この時ラグビーの母国は、確かに日本のホームとなりました。
試合も終盤。日本が3点を追う中、日本が一つでもミスをすれば試合終了という状況。3点を追加して確実に同点を狙う方法もありました。
しかし日本はあくまでトライ(5点)での逆転を狙い、巨人・南アフリカに真正面から挑みます。
日本がトライを狙うために、リスクを取りスクラムを選択するたび、大きな歓声が起こります。
不安や焦燥、奇跡を渇望する高揚感が入り混じる異様な雰囲気の中、数度のスクラムの末、ボールをつなぎ、日本代表立川からマフィ、ヘスケスへと渡り、ゴールラインへ飛び込みトライを決めたその瞬間。
凄まじい歓喜の爆発が起こりました。皆が我を忘れあらん限りの歓声をあげます。
頭が真っ白になり、ただただ叫びました。衝撃的な結末が、スタジアムを震撼させました。
私はこの試合を観て感じました。
不可能なんてないんだ、と。
↓ ヒラ公務員欧州へ行く(HKO)1~28はこちら
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