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愛の告白「月が綺麗ですね」への小粋な返答を考えたよ

(1/8追記:英語文法がへんだったので、ちびと修正致しました!)

「月が綺麗ですね」という、告白の言葉をご存知でしょうか?
通説では、夏目漱石の逸話が由来とされています。

「月が綺麗ですね」は、明治時代の文豪 夏目漱石が生んだ告白の言葉といわれています。

夏目漱石が英語教師をしていたときのこと、英語の「I love you」を生徒たちに訳させたところ、「我君を愛す」「そなたを愛おしく思う」などと訳しました。それを見た漱石は、「日本人はそんな直球に愛を伝えることはしない。“月が綺麗ですね”とでも訳しておきなさい」と教えたそうです。

このエピソードがきっかけで、「月が綺麗ですね」は、単に月を鑑賞するだけではない、ロマンティックな意味合いを持つようになったと考えられています。

「月が綺麗ですね」は愛の告白? 異性から言われたときの返し方や由来を解説 | Oggi.jp
https://oggi.jp/6698440

TVやネットなど色々な媒体で、この言葉の意味を知った方も多いと思います。これを書いていると、2017年に放送された「月がきれい」というアニメを観たなぁ〜と、久々に思い出しました。めっちゃ懐かし〜〜。

「月がきれい」というアニメは中学生の恋愛模様を描いた作品でした。ですが現実においても、この言葉の意味を知って実際に「告白に使ってみようか」とウズウズしちゃう体験は、中学生ぐらいで起こりやすいと想像します。しかし、言葉の意図を汲み取ってもらえず告白が不発となるなどの悲劇も想像に容易いです。現実に使ってみるにはややリスキーですね。

というかそもそも、「月が綺麗」が「I love you」なら、「I love you,too.(私もです)」はどう返したらええのや??と、言われる側からしたら困っちゃうわよね〜。
いわゆる無難と思われる返答はググれば色々でてきますが、ここは漱石先生の小粋さに倣って、どこかの模範回答をお返しするよりは、己のセンスを多分に取り入れたお返しを用意しときたいと思うわけですよ。
ということで、この言葉に対して、私なりにイケてると思う返答を発表させてください。こちらです。


「団子がすすみますね」


情緒を誇りたい自作フレーズについて、自らクソデカ大声で解説して気持ちよくなることほど、台無しなことがあるものか。
・・・
いかがでしたか?今回は、私が考えた「月が綺麗ですね」への小粋な返答をご紹介しました!
……と、強引にまとめに入る万能構文で無理やり締めようかというところですが!あの、説明させてください。ちゃんと説明させてください!あの!!理由までよければ!!理由までよければ聞いて!!


「月が綺麗ですね」に込められし感情を深堀る


返答についての解説をする前に、まずは「月が綺麗ですね」を口にする側の心情について、私の見解を語らせてほしいのです。
人はどういうときに「好きです」でも「愛しています」でも「付き合ってください」でもなく、「月が綺麗ですね」と言いたくなるのか?ということを考えます。
私が思うに、人がこの言葉を伝えたいと思うとき、以下のような心情であると思うのです。


①“あなた”といられると、目に映るすべてがいっそう美しく見える


恋をすると、日常のすべてが鮮やかに色を持って見える。すべてがより大きく、瑞々しく、ドラマチックに感じられる。
あえて“あなた”ではなく、夜見上げればいつも照り輝いていたはずの“月”について感想を持つということは、きっと“私”は“あなた”との出逢いに「世界を変えられてしまった」ということです。

見える全部聴こえる全て
色付けたくせに

青いまま枯れてゆく
あなたを好きなままで消えてゆく

back number - ハッピーエンド(歌詞抜粋)

君が僕の前に現れた日から
何もかもが違くみえたんだ
朝も光も涙も、歌う声も
君が輝きをくれたんだ

スキマスイッチ - 奏(歌詞抜粋)

近い感覚といえば、この2曲の歌詞には共鳴するものがあるな〜と思って、貼ってみた。誰かを愛することは、世界を一変させることなんですねえ。

また、「月が綺麗」と伝えること=「今、“私”の身に何が起こっているか」の状況説明とも取れます。これについては③でまた詳しく語りたいのですが、この台詞は「あなたとどうなりたい」とかいう、能動的な告白の台詞ではないということです。
ただ、「目に映る世界の美しさに心を奪われていたら、その根源には“あなた”がいた」という、気付きの表明なのです。


②“あなた”を、手の届かない人と思う


①にて「目に映る世界の美しさに心を奪われていたら、その根源には“あなた”がいた」ということを書きましたが、「あなたが私の“世界”を作っている」=「あなたは私の“世界”そのもの」なのです。
それを更に言い換えるならば、手の届かない「月」=手の届かない「あなた」の投影です。

昔話『竹取物語』では、竹から生まれた美しい「かぐや姫」は、多くの男性から求婚されますが、結局は月に帰ってしまいます。
そのことから、月には「別れ」のイメージも付き纏います。

「手は届かないだろう、そのうえいずれは別れがくるだろう。」
その儚さが、ただ今日このときに美しい月を、より一層格別なものにしてくれるのでしょう。
このように考察すると、なんだか大層悲観的な愛の表現という感じがしてまいりました……。


③“あなた”との関係に、変化を望まない


①にて、この台詞は「あなたとどうなりたい」とかいう、能動的な告白の台詞ではないということを考察しました。
正直なトコこんな婉曲的に愛を表現しなくとも、“あなた”とどうにかなりたいのであれば、好きなら好き、付き合ってなら付き合ってと言っちまえばいい話なのです!!漱石先生の逸話をガン無視すると!!
でも遠回しな表現ということは、そうではなく、見返りを求めていないということです。
ただ、今に感動しているという、ただそれを伝えたいときに自然とこぼれ落ちてくる、そんな愛の言葉が「月が綺麗ですね」……なのです。


①〜③をふまえると


「月が綺麗ですね」という愛の告白は、

①目に映る世界の美しさに心を奪われていたら、その根源には“あなた”がいた。
②しかし眩いあなたに私の手は届かないだろう、そのうえいずれは別れがくるだろう。
③ただ、今に感動しているという、それを伝えたいのだ。

……というような意図で用いる。これが私の見解になります。
そして、次からが本題です!


「団子がすすみますね」が粋だと思う理由


私流の「I love you,too.」、すなわち「団子がすすみますね」を解説したいと思います。


はじめに押さえたいコンセプト


★そこはかとないネガティビティに、光を灯せ!★

まずこれ、いっちゃん大事にしたいポイントです。「月が綺麗ですね」を言ってくれた相手の気持ちを第一に考えます。込められた杞憂を、全力でフォローしにいきましょう。
先ほどの考察に沿ってお話ししますと、「月が綺麗ですね」という言葉には情緒的な美しさに加えて、「儚さ」や「なんかちょっと自信なさげ感」が滲み出ているため、このネガティビティに一言で光を灯してやらなきゃなりません。
同じように情緒的な返答をすることは勿論大事なことですが、この者を支えていくにあたっては、同じレベルの繊細さを発揮していてはいずれ共倒れです。心配するな!と笑い飛ばす眩しい笑顔と肉厚なマッスルボディがあるとより望ましいでしょう。強い女を見せていけ!(筋肉の誇示)
ということで。告白され側の「団子ちゃん(仮名)」、告白側「月が綺麗くん(仮名)」の救済に!いざ参らん!


ポイント1:被写体を「月」から、手元に持ってくる


「団子がすすみますね」のおセンスポイント1は、カメラを望遠からグルン!として強引にこちらに持ってくることで、身近な日常風景によりフォーカスすることにあります。
先の考察のように「月≒あなた=綺麗、手が届かない、別れを想起させる」といったイメージを、「いつも“月が綺麗くん”の隣にいる、日常風景の中の私たち」の描写によって上書きします。これで「安心してね」ってことが伝えられます。
また、月と団子は遠近感は全然違えど、同じ「日常風景カテゴリ」内の描写であり、掛け合いのおかげで情景に奥行きが出るうえ返答が突飛になりません。


ポイント2:五感を刺激する


「月が綺麗ですね」は視覚の描写です。これに対しての返答で同じような視覚情報(例えば「星も綺麗ですね」とか)を返しの言葉にするのは、ほとんどオウム返しであまりうまくありません。そこで団子!団子の出番です!!
「視覚」に「味覚」を加えることで、世界観を共同創造している感がマシマシになり、グッドなマリアージュです。こんなにお似合いな二人はいないぞ!
そのうえ月と団子は秋の風物詩のため季節感もあり、相性抜群です!


ポイント3:告られ側の投影を「月」から「団子」に移動する


手が届かない「月」を描写した“月が綺麗くん”に対してのアンサーを、「団子」に込めて表現します。
ここで“団子ちゃん”が伝えたいのは、「私はそんなに遠く大層な存在ではありませんよ」ということです。団子を一つずつ摘み口に運ぶ“月が綺麗くん”の横顔を傍で眺めながら、以下のような言葉を口にするように。
「今、あなたの手のひらの上で一つ、跳ね転げているのが私です。かぐや姫はあなたを振り回した挙句、いずれ月に帰ってしまうとでもお思いかもしれませんが、転がされているのは私の方なのです」


まとめ


とても長ったらしい記事になりました。もしもここまで読んでいただけていたらもうビックリです。ありがたし。よくぞここまで耐え抜いた。

ということで、これが私なりの「月が綺麗ですね」への小粋な返答となります。どうでしょうか。秋の夜長以外には使えなそうなのが最大の弱点ですね!使いづらっ!!

決まった返答(常套句)があまり確立していないようなのが、面白いところです。きっと人によって「これがベストだ!」という返答はちがうと思いますので、他に素敵なお返事パターンがあれば知りたいなあなどと思いつつ締めたいと思います。