ズッキーニの花の天ぷら【フランスおうちごはん1】
義理の祖母の料理
私には、98歳になるフランスの義理の祖母がいます。義理の祖母は南仏のマントンという街に住んでいます。残念ながら、怪我などが重なり今はもう義理の祖母自身は料理をすることはなくなりましたが、90代前半ぐらいまでは、会いに行く度に、南仏の料理でもてなしてくれました。
フランスに住みながらも、毎日の食卓で、フランス料理を食べるのは、胃がきついと感じる私にとって、義理の祖母の南仏料理は、これなら毎日食べれる!と思えるほど、美味しいものでした。
そんな義理の祖母の南仏料理の中でも好きなのが、ズッキーニの花の天ぷら。日本の天ぷらとは違い、衣が分厚いのが特徴です。ベニエと呼ばれ、衣には小麦粉、牛乳、ドライイースト、卵が使われています。
実はズッキーニの花って、南仏では食べるけれども、パリの人たちは伝統的に調理することはないようです。マルシェに行っても、南仏のようにズッキーニの花が売られていることはありません。フランス全土で必ずしも同じ食材が買えるという訳ではないんですよね。
時々無性にズッキーニの花の天ぷらが食べたいなぁと思うことがあります。特に夏にズッキーニがマルシェで山積みされているのを見たりなんかすると。畑にはズッキーニの花があるはずなのになぁ。南仏のように簡単に買えたらいいのになぁ。
そんな時は、パリの郊外の自分達で摘むことのできる農園に行きます。そこではズッキーニの花も取ることができるのです。
取り立てのズッキーニの花はその日のうちに調理しなければなりません。すぐにしなっとなってしまい、見た目も茶色くなってくて、風味も台無しに。
このようにして作ります
まず、ズッキーニの花の天ぷらを作るには、衣を作らなければなりません。
小麦粉、牛乳、ふくらし粉、卵、みじん切りのイタリアンパセリ、塩こしょうを混ぜた天ぷらの衣を1時間ほど寝かします。
その間にズッキーニの花の下拵えです。花柱、がくなどを取り除いて、ズッキーニの花についた汚れを水で綺麗に洗います。その後ズッキーニの花をしっかり乾かします。
衣からぶくぶくと泡が出てきました。ちょうどいい感じに寝かせれたようです。揚げたら衣がふわっとしそうな予感。これは美味しい天ぷらになるはず!
ズッキーニの花の中にも衣がつくように、たっぷりと浸します。天ぷらというよりも、衣をメインに食べるのに近いような感じです。とにかく衣をたっぷりとつけます。
鍋に油を注ぎます。この時、油をケチりたい気持ちを抑えて、たっぷり鍋に注ぎます。そして中火で油を温めます。
菜箸に衣をつけて、鍋に菜箸で数滴衣を落とします。ジュワ〜っと衣が浮かび上がってくる。「今だ!」と思い、急いで衣をたっぷりとつけた天ぷらを鍋に入れます。一瞬で衣が広がるように揚がるのを見るのは不思議と快適。
こんがりとしたきつね色になる前に、ズッキーニの花をひっくり返します。またジュワ〜という音を立てて、衣が揚がっていきます。
子どもたちにも好評だった
義理の祖母の料理を作るときはいつもドキドキ。小さい時から食べている旦那さんに美味しいと思ってもらえるだろうか。
「お母さん美味しいよ〜。」、子どもたちには好評のよう。
旦那さんも「うん、美味しい!外はサクサクで、中はもっちりとしてる。祖母の味に近いよ。」という言葉を貰って、ひと安心。良かった、良かった。