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短編

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短編小説をまとめました
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2017年9月の記事一覧

本とキム子とスイカバー

 人口よりも野鳥が多い。住宅地より田んぼが広い。市に昇格なんてもってのほかで、今時住所に郡がつく。
 7月のある日、そんな町の裏山に流れ星が落ちた。
 落ちた星は四方八方に光を放ち、この町を包み込んで消えた。偶然近くを飛んでいたテレビ局のヘリコプターがその様子を撮影し、超常現象だと騒ぎ立てた。
 けれど、本当の超常現象はこの後起きる。
 きっかけは、テレビの取材を受けていた町の人間が突然空に浮かん

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赤い星の夜

 赤い星が輝く夜は注意が必要だ。赤い星は私たちの魔力を高め、高まった魔力に人は狂ってしまうから。
 一級魔道師であるオニキスが姿を消したのも赤い星が輝く夜だった。次の日の朝、魔道師連盟から連絡を受け現場に向かった私は人の多さに呆然とする。いつもは静かな高級住宅地であるそこは大勢の魔道師と野次馬でごった返していたのだ。
「ミルキー特級魔道師、おいでくださいましたか」
 二級のエンブレムをつけた魔道師

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兄嫁

 高いところに上ると、ここから身を投げる自分の姿を夢想するんだ。
 ある時、十年上の兄がそう言った。その場所がデパートの屋上だったので、幼かった僕は兄の服をしっかりと握った。
「冗談だよ、伸二」

 しかしまた帰りの駅で兄は飛び込みを夢想し、僕は再び彼の服を握ることになるのだ。

 学校帰りに駅前の喫茶店に寄った。暗い店内に先客は、カレーライスを頬張る痩せた眼鏡の男がただ一人。僕はカフェオレを注文

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トイ・プードルが知っている

 私の名前は高枝こずえ。どうして名字が『高枝』なのに名前が『こずえ』なのかを話せば長くなる。長くなるけど要約すると、ひいおばあちゃんの名前をもらった、そういうことだ。
 職業は中学生。成績は優秀な方で生徒会長もやってる。陰で『氷の女』と呼ばれているけど気にしていない。気にしてないよ、陸上部の部長。運動場使用禁止令はまだ解除しないよ。陸上部全員でその辺グルグル走ってろ。
 そこまで思いをめぐらして、

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蛍雪の友

 森田圭介から「会いたい」とメールが来たのは六月初めのことだった。
 大学時代に所属していた研究室の同期である。情報テクノロジー工学科は私たちの代が一期生で、四年生になって配属された研究室には私たち三人しかいなかった。
 そう、あの年の河原研究室は私、森田、そして、ぐっさんこと原口泰子の三人だけだったのだ。

「久しぶり。ニシケイ、元気だった?」
 森田は待ち合わせの時間通りやって来た。ニシケイは

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カタコイ

カタコイ

 伸ばした手は空をきり
 紡がれた言葉は宙に浮いて
 どちらも決して届かない

 人はそれをカタコイという。

 中学から高校へ進学し、彼女はセーラー服からブレザーへとその姿を変えた。
 そして、短かった髪を伸ばし始めたのも高校へ入ってからだ。

「……こうしてポリスが作られ、その後、ギリシャは……」
 月曜日、5時間目の世界史。
 催眠術にかかったかのように、クラスメートが一人、また一人と机に伏

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うんてい

うんてい

「代表委員」
 声に視線を戻す。

 うんていの柱にもたれかかり、スーツ姿にネクタイを締めたその男はにかっと笑った。
「おっす」
「……おっす」
 右手を上げた彼に返事を返して足を止める。

 今日は、小学校の同窓会だ。

 20歳になった成人式の日に同窓会をやる。
 うちの小学校のこの行事がいつから続いているのかはわからない。

 けれど、確実に言えるのは。
 同窓会なんて来るんじゃなかったとい

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