
理容師さんの紳士的な振舞いにシビれる。
朝起きて、顔洗って、ご飯を食べたり食べなかったり。
歯磨いて、ゴミ捨てて仕事に行く。
職場では同じメンバーに顔を合わせる。
外出先では新しい出会いがあったりなかったり。
そして夜は慢性化している残業をして家に帰る。
そんな毎日を繰り返しております。
マンネリ化した日々の様ですが、その中でもチョットした刺激を受けることもあるのです。
例えばそれは会社メンバーの髪型。
自分がいる部署のメンバーは、営業部ということもあってか、皆さん定期的に散髪しているみたいです。
「お、Sさん髪切ったの。キレイな刈り上げじゃん。」
するとSさんは「あざっす!」と元気がよい。
彼の整った刈り上げを何気なく眺めていると、急に自分のボサボサ頭が鬱陶しく思えてきました。
代わり映えのない毎日の中でもこういった刺激はあるワケです。
さて、その週末に近所の床屋に向かったのですが、そこは予約不要なので、混雑して待たされても、その日のうちにサッパリできます。
店長「いらっしゃいせー!」
一同「っしゃいせー!」

入店すると先客が多いですが、理容師さんは3人いるのですぐ呼ばれるでしょう。
こち亀の総集編かゴルゴ13を読みながら時間を潰します。
しばらくすると、
「16番のお客様ー!」
お、自分だ。
やっとこのボサボサ髪から解放されますね。
そして、あーだこーだと要件を伝えると散髪開始です。
散髪してくれる理容師さんはどうやら店長で、背が高く細身で姿勢が良い。
ハサミでチョキチョキやり始めてしばらくすると、
「ちょっと失礼します。」
と言って店長は離れて行きました。
何かと思いましたが、散髪中で頭を動かせません。
なので鏡に映る店長の行く先を追ってみると、お店の入り口ドアを全開にしています。
すると杖をついた老人がヨタヨタとドアに向かって歩いて行きます。
散髪を終えた老人は、軽く手を上げてお礼の挨拶をしながら鏡の外へ消えて行きました。
そして店長は何事も無かったかのようにゆるりと戻り、再び散髪を再開したのです。
いや〜、さすが店長。プロですね。
散髪しながらも店の隅々まで神経を巡らせていて、誰よりも早く「いらっしゃいませ!」、「ありがとうございました!」と声を発しています。
それに呼応して他の理容師さんも一生懸命な様子です。
店長のプロ意識が店全体に良い影響を与えているような気がしました。
さて自分の頭もスッキリしたのでお会計です。
レジカウンターに向かうと店長が、
「1,800円です。ポイントカードはお持ちですか?」
そのポイントカードですが、貯まるとシャンプーだか顔剃りが無料になるらしいのです。
自分はシャンプー顔剃りは床屋ではやらないので、
「あー、要らないっす。」
と言ったら店長はビックリした顔をしていました。
もしからしたら、「もう来ないからポイントなんていらない」という意味で捉えたのかもしれません。
いやそうでは無くて、単にポイントが要らないだけで、、、不満ではないんです。
さすが店長と思ってむしろ大満足なんですが、、、と思いつつ説明するのも面倒だからそのまま帰りました。
店長「ありあしたー。」
一同「りゃあしたー!」
自分「ぁざした。」
また来月来ますね。
文+イラスト : ケーモティック