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ガラスの仮面【未収録話】を求めて国立国会図書館へ-序章ー

もうとっくにダメです


ちょっとネタバレ含みます。

きっかけ

8月のお盆休み、美内すずえの「ガラスの仮面」がLINEマンガで無料公開されていた。
「ガラスの仮面」は小学生の時に親が買った「月刊 ガラスの仮面」を読んでおり、うす~~~い記憶の底に実写ドラマを見た覚えがあった。

そのあと、dアニメストアで2005年に再アニメ化されたガラスの仮面も見ていたので、完全な初見ではなかった。

なのにどうしてこんなことに…。

取り返しのつかないレベルでズブッズブにハマってしまったのだ。

小学生の頃に読んだときは、41巻あたりまで。
現在発刊されているのは49巻までなので、8巻ほど未読だった。
あと、紅天女の話が小学生には難しすぎて理解しきれていなかったのもある。

それでも、劇中劇や主人公の北島マヤが成長していく過程が面白かったのはよく覚えていた。

人生2回目の漫画「ガラスの仮面」を読む

そんな前置きがありながら、久しぶりに「ガラスの仮面」の漫画を読んだ。
面白い。
マジで面白すぎて殺されるかと思ったし読む手が止まらなかった。
朝の6時に目が覚め、「ガラスの仮面」を読み、気づいたら23時を超えていた。

お盆休みに何の予定も入れていなかったのをいいことに漫画をずんずん読み進めていった。
本当はこち亀のアニメを全網羅する予定だったのに…。

そしてついにあの話に到達する。
マヤの師匠、女優・月影千草が満を持して幻の作品「紅天女」を実演する場面。

子どもの頃は「はて?」と思いながら読んでいたけど、今読むと衝撃的すぎた。

個人的な漫画の最高傑作の話

話は逸れるが、私は全ての漫画作品の中で手塚治虫の「火の鳥」が他に類を見ない作品だと思っている。
話の内容も構成も、未完となっている経緯も凄すぎて知った時は軽くパニックになるほど驚いた覚えがある。

「火の鳥」は太古の日本・邪馬台国などが舞台となっている「黎明編」から始まり、次に人類が滅亡しようとしている未来を描いた「未来編」へと話が進む。
そして一番最後は近未来と過去が舞台となった「太陽編」を経て「現代編」を描いたところで完結するはずだった。
振り子が動くように「過去→未来→過去→未来…」の順で話が描かれておりだんだん舞台が現代へと収束していく。
「未来編」のラストは「黎明編」につながっており、過去と未来の話を「現代編」でつなげることで過去から未来に無限に続く環が出来上がるという構成になっている。

何かの記事で読んだ話だが、「過去も無ければ未来もない、その一点。そこを<現代>とし、火の鳥を完結させる」というようなことを手塚先生が生前話していらっしゃったそうだ。
「過去も無ければ未来もない、その一点」とは、手塚先生の死の間際のことだそうで、そこで1コマでも漫画を描けたら火の鳥は完結したのだそうだ。

もう無理じゃん…。
漫画の神様といわれる手塚先生にそんなことされちゃ、どうしたらいいんだよ…。

漫画として、作品としての凄みを感じたと共に、このレベルの漫画にこの先出会うことがあるのかとショックを受けた。

出会ってしまったのが「ガラスの仮面」だった。

幻の名作「紅天女」やそれに至るまでの話

「ガラスの仮面」1巻からその名称が登場する、劇中の幻の名作「紅天女」の話はいったいいつ頃から、どんな取材のもとで作り上げられた話なのかと月影先生が「紅天女」を演じる場面が始まってから、考えるようになった。
そもそも「ガラスの仮面」全体を通しての話もいつからどの程度プロットを考えて描かれているのか考えただけでも頭が痛くなっていた。

月影先生が「紅天女」をやっている場面を美内先生が描いたのは恐らく40代前後の頃。
私は今30代。
あと10年もない間に同じ熱量の作品を作るなんて到底考えられない…と、素人が何言ってるんだと思うようなことも考えた。

「紅天女」以外の劇中劇についてもどれも面白いし、その演目を演じてきたマヤとライバル・姫川亜弓それぞれに成長の過程として反映されていき、同じ「紅天女」を演じる筈なのに表現方法が異なっていく展開も凄すぎる。

月影先生が演じた「紅天女」の表現が既に凄いのに、マヤと亜弓さんがそれぞれ試演で演じる「紅天女」のためにあと2パターン別の「紅天女」を描き分けるつもりであろう美内先生が凄すぎる。

12年新刊が出ないのも腑に落ちた。

凡人にはどう描いていいか全く想像がつかないもんね。

「早く完結させてほしい」という話をよく聞くが、美内先生は完結までの話を描いては修正し、描いては修正し…をこの12年繰り返しており、この先も不謹慎だが亡くなる直前まで調整を続けるんじゃないかと勝手に推察した。

そう妄想しているうちに、「火の鳥」を初めて知った時の感覚に似ていることに気が付いた。

私の一生叶わない願いの一つに「『火の鳥』をリアタイで読むこと」がある。
私が生まれた時、既に手塚先生は亡くなっていた。

「ガラスの仮面」はまだ追うことができる。
完結まで読める可能性があるし、美内先生もご健在でいらっしゃる。

LINEマンガで「ガラスの仮面」を49巻まで読んだあと、即刻kindleで既刊分すべてを購入した。

そしてズブズブに…

LINEマンガの無料公開期間が終わった後、購入したkindleでまた読み返す日々が始まった。
「ここは伏線なんじゃあないか!?」と思う箇所、速水真澄がトンチキな行動に走る箇所、速水真澄が嫉妬でバチ切れしている箇所をすかさずブックマークしていった。

「ガラスの仮面」にドチャハマりした経緯には書いていなかったが、一番好きな登場人物は大都芸能の社長であり、11歳年下の北島マヤに惹かれていく速水真澄である。

kindleを片手に、dアニメストアで2005年版のアニメも再視聴した。
飽き足らず、1984年版のアニメも見た。

アニメ版を見て、原作にある真澄の奇行がカットされてるのを見るたびにしこたま笑った。
美内先生が許しても、コンプライアンスは許してくれないね。
ほんまおもろい男やで…。

2005年版のアニメの真澄の声が良すぎたので、漫画を読むときに脳内再生できるよう何度もCV森川智之さんの声を聴いた。
森川さん繋がりで「ジョジョの奇妙な冒険」第4部に登場する吉良吉影の雰囲気が真澄に似ている気がしたので、それも再履修した。

速水真澄のたまごっちこと、タニタと花とゆめがコラボしたことで爆誕した速水真澄の万歩計も意味が分からなくて最高だったので受注販売の予約をした。

https://shop.tanita.co.jp/shop/products/FB741HY0001JPA

そして、劇中に舞台として登場した実在する場所にもはせ参じた。

仕事の帰りに寄れることに気づき、東京都庁を見に行った。
漫画に登場した場面と、実際の場所を比較し、真澄が立っていた場所にも真似して立った。
都庁が出てくるページもその場で全部読んだ。

都庁のあの像
都庁のあの像②

8月、比較的涼しい夜があったので井の頭公園にも行った。
誰もいない野外ステージと漫画のコマを見比べ、脳内合成をして楽しんだ。
エグい臨場感があった。
パックが大ジャンプをかました藤棚が、今は存在しなくて少し残念だった。
もう少し涼しくなったら、池のボートに乗って漫画を読みたい。一人で。
「真夏の夜の夢」の話が1回では読み切れなかったため、井の頭公園には別日にもう1回行った。

『真夏の夜の夢』の舞台、井の頭公園

未読のエピソードと速水真澄からの天啓

ところで、TwitterことXには下記のアカウントが存在する。

ぜえ~~~~~~~~~~~~んぶ読んだったからな!!!!!!!!!

「ガラスの仮面」の衝撃がでかすぎて、余韻を引きずり倒しながら多分白泉社の社員さんが投稿しているであるであろう速水真澄のTwitterを読み続けた。

そしてこんな投稿を目にしてしまう。

50巻!???!?!?!????
の、一部を大公開!???!?!??!?!?!??!??
はいいいいいい?????????

調べたところによると、「別冊花とゆめ 2016年7月号」の付録に「別冊 別冊 花とゆめ」という付録が付属していたそう。
その中に、なんと2016年に予約受付をしていたにも関わらず現在も発刊されていない「ガラスの仮面 50巻」の一部が収録されているというのだ。

私がまだ読んでいない「ガラスの仮面」の話がこの世に存在するのだ。

そして、この冊子のことについて調べていたところもう一つ情報を発見する。
雑誌には掲載されていたが単行本には収録されなかった「ガラスの仮面」の【未収録エピソード】だ。

そんなものが?まだ?この世に?存在する…?
キエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!

こちらの神がかりてきなまとめを見てみたところ、そこそこ未収録の話と改稿があったことを知る。

とあるインタビューで美内先生が「気に入らなかったら描き直す」的なことを仰っていた。
何かしらの事情で単行本には収録されなかったのだろうが、読みたい。
どうしても、何としてでも読みたい。

そう考えながらふと思い出したことがあった。
昔、大学の事業で本の制作をしたところ、図書館司書をやっている叔母に「国立国会図書館に保管してもらおう」と言われたことがある。
国立国会図書館には、ありとあらゆるメディアが保管されるのだという。

司書の叔母が私の作ったお手製の本ですら保管してくれる(かもしれない)というのだから、大メジャー出版社であられるところの白泉社様の「花とゆめ」なんてもしかしたら全て揃っているのではないか…?

最近公開されていたこの動画のことも思い出した。

ライバーの月ノ美兎さんが、動画の中で資料を探すために国立国会図書館へ行ったことを話していた。
この動画を見ていたことで、叔母とのエピソードもすぐに思い出すことができたのだ。
美兎ちゃん、サンキューな。

国立国会図書館に「花とゆめ」「別冊花とゆめ」が収蔵されていることもWEBで確認した。

ただ、今回一番探している資料は本誌ではなく付録。
付録は収蔵されていない可能性もあるんじゃないか、いや…冊子なら…と思いながら来てしまった。

国立国会図書館に

来ちゃったね…

あるんだろうか…。

あった。

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