YGサーブのやり方・コツ・打ち方!!メリットや戦術まで🖐️
卓球において、サーブは「1球目攻撃」と言われるほど、重要です。
その中で、近年見かけるようになったのが「YGサーブ」です。これは、ひときわ華やかな動きで、非常に威力のあるものです。
相手にプレッシャーを与えるだけでなく、得点源にもなるので、習得すれば一挙両得です。
今回は、そんなYGサーブのコツや、やり方・打ち方と合わせて、メリットや戦術なども解説させていただきます。
(1)YGサーブとは!?
YGサーブの「YG」は、ヤングジェネレーション(若い世代)の略です。1990年代に、ヨーロッパの若い世代が使っていたことが、名前の由来です。
チキータなどと同様に、2010年代から多くの選手が取り入れ始めました。なので、比較的「若い」「新しい」技術です。
世界のトップ選手の間では、標準的に使われているサーブです。
ここからは、そんなYGサーブの特徴を解説します。
❶YGサーブの回転
まず、YGサーブの回転について解説させていただきます。
回転は逆回転(左回転・反時計回り)で、下図のように、相手のラケットに当たると左側(自分の右側)に飛びます。
バックサーブや巻き込みサーブと、同様の回転です。しかし、それらよりも手首を大きく使って打つので、強い回転がかかります。
❷独特の打ち方
YGサーブでは、フォアサーブの構えから、手首を一旦内側にしっかり曲げて、そこから元に戻す動きを利用して回転をかけます。
バックサーブや巻き込みサーブと、同様の回転です。しかし、それらよりも手首を大きく使って打つので、強い回転がかかります。
❸独特の打ち方
YGサーブでは、フォアサーブの構えから、手首を一旦内側にしっかり曲げて、そこから元に戻す動きを利用して回転をかけます。
フォアハンドで3球目攻撃をしやすいので、おすすめです。
また、手首がやわらかい人にもおすすめです。なぜなら、YGサーブは手首を大きく曲げてスイングをするものだからです。
ただ、今は手首がかたい人も、YGサーブに取り組むことでやわらかくできます。手首のストレッチ・トレーニングがてら、練習してみるのもいいでしょう。
このように、YGサーブはフォアハンド主体の人や、手首がやわらかい人におすすめです。
(2)YGサーブの6つのメリット
続いて、YGサーブのメリットを6つ、紹介させていただきます。
❶回転の種類が相手にわかりにくい
1つ目のメリットは、回転の種類が相手にわかりにくいことです。これは、どの回転でもラケットの角度があまり変わらないからです。
特に、上回転と下回転の判別がしにくいです。これは、レシーバーにとってとてもツラいものです。
左右の回転の見極めができなくても、台の真ん中を狙えば返球できることもあります。しかし、上下の回転を判別できない場合、そうはいきません。ネットミス、もしくは浮いてチャンスボールになってしまいます。
このように、上下の回転がわかりにくいことが、YGサーブのメリットです。
❷サーブの長さがわかりにくい
2つ目のメリットは、サーブの長さが相手にわかりにくいことです。スイングが速いサーブは、打つ瞬間が見えにくいからです。
YGサーブは、手首から先を素速く動かして打つため、スイングがコンパクトで短時間です。
ゆえに、回転の種類に加えて長さもわかりにくいことが、YGサーブのメリットの1つです。
❸強烈な回転をかけることが可能
3つ目のメリットは、強烈な回転をかけられることです。これは、他の逆横回転系のサーブよりも、手首を使いやすいからです。
強烈な回転をかけることで、相手のレシーブを限定できます。これにより、打ち方や返球されるコースを予測して待てます。なので、3球目攻撃につなげやすいです。
このように、他のサーブにはない強烈な回転をかけられることも、YGサーブのメリットです。
❹長く返球されやすい
4つ目のメリットは、長く甘いコースに返球されやすいことです。これを、ドライブやスマッシュで打って、先手を取りやすくなります。
YGサーブには、強烈な回転がかかっています。ゆえに、相手はコントロールがむずかしく、返球を第一に考えてレシーブしてきます。すると、必然的に長さやコースは甘くなるのです。
このように、長く甘い返球を誘いやすいのも、YGサーブのメリットです。
❺フォア側に返球されやすい
5つ目のメリットは、フォア側に返球されやすいことです。
YGサーブには、逆回転がかかっています。これが相手のラケットに当たると、右(自分のフォア側)に飛びやすくなります。ゆえに、3球目をドライブやスマッシュで狙いやすいのです。
このように、フォア側に返球されやすいことも、YGサーブのメリットです。
❻サービスエースが狙える
6つ目のメリットは、サービスエース(サーブで得点すること)が狙えることです。
理由は、回転の種類・長さがわかりにくく、強烈な回転で威力があるからです。
また、YGサーブをする人は少ないので、これのレシーブに慣れていない人も多いです。威力があり、とても難易度が高いです。回転に逆らってレシーブをしようとすると、ミスをしやすくなります。
このように、サービスエースを狙えることも、YGサーブのメリットの1つです。
(3)YGサーブのデメリット
YGサーブのデメリットは、その回転の種類やコースが、ある程度限定されてしまうことです。これにより、相手に読まれやすくなります。
まず、YGサーブはスイングを途中で変えられません。巻き込みサーブは、打つ直前に変えて、順回転サーブにできます。しかし、YGサーブは独特のスイングフォームゆえに、それができません。
加えて、スピードの速いロングサーブを出すことがむずかしいです。手首を中心に使うため、腕の力を十分に使えないからです。
また、コースも相手のバック側に出すほうが簡単で、フォア側がむずかしいです。これは、高い精度が必要だからです。
バウンドの高いボールや、回転の弱いYGサーブをフォア側に出してしまうと、ドライブやスマッシュで強打される可能性が高くなります。ゆえに、バック側に出すほうがリスクが少ないです。
以上のことから、YGサーブの構えに入った瞬間、たいてい「バック前に、短い逆回転」と相手に読まれやすくなります。
このように、YGサーブのデメリットは、回転の種類やコースが限定されてしまうことです。
(4)YGサーブのやり方・打ち方
次に、YGサーブのやり方や打ち方を解説させていただきます。
❶ラケットの握り方、構え方
最初に、ラケットの握り方です。下の写真のように、人差し指と親指で挟み込むようにラケットを握ります。
構えでは、あらかじめ手首を内側に30°ほど曲げておくと、スイングがやりやすいです。加えて、握り拳が余裕で入るくらい、脇を開けておくとよりスムーズになります。
下の写真の赤色部分のように、ラケットの先端はやや前方(相手)方向に向けます。
❷回転のかけ方
次に、回転のかけ方です。ここが、YGサーブで最も特徴的なところです。
ボールをトスするタイミングで、さらに脇を開いて肘を大きく突き出します。ちょうど、志村けんさんの「アイーン」のポーズのイメージです。
このとき、肘が低い位置にあると、バックスイングができません。手首・ラケットよりも高い位置にすることが、コツです。
こうしてできた脇の空間に、ラケットを入れるようにバックスイングをします。同時に、手首を最大限まで内側に曲げます。
この手首の曲げ具合で、回転量が決まります。できるだけ内側に、ラケットの先端が自分のほうに向くくらい、目一杯曲げましょう。
そして、曲げた手首を思い切り戻し、解放します。このスイングでボールを打球し、逆横回転をかけます。
スイングと同時に、手首の力もボールに加えてください。複雑な動きですが、力を入れるのはボールを打つ瞬間だけ、です。
❸ボールを捉える位置・スイングの方向
YGサーブで、ボールを捉える位置とスイングの方向は、回転によって異なります。
♦逆横上回転
逆横上回転は、下図のように、ボールの右(後ろ)もしくは右斜め後ろを捉えます。
スイングは、エンドラインに沿った方向にします。手首を跳ね上げて、ラケットの先端が右を向くようにします。そして、体から離れるように外側に振ります。
ちょうど、下図のようにです。
♦逆横下回転
逆横下回転は、下図のように、ボールの底(下)を捉えます。姿勢を低くするのが、コツです。また、打球面をできるだけ水平にするのもポイントです。
スイングの方向は、前方(相手のほう)にします。打つ瞬間に、右足を前に出して、体を正面(台のほう)に向けるとやりやすいです。ちょうど、下図のようにです。
♦逆横回転
逆横回転は、下図のように、ボールの右側を捉えます。
スイングは、ラケットの先端を跳ね上げて、前方向に振ります。前述したように、体を正面に向けるとやりやすいです。
❹ロングサーブのやり方・打ち方
次に、YGサーブでロングサーブを出すやり方について解説します。ラケットの先端を下にして面を立て、ボールの真後ろをとらえます。勢いよく前に飛ばすように打ちましょう。
下図のように、1バウンド目が、台の端ギリギリになるように打つといいです。ロングサーブは、とにかく第一バウンドが大切です。
ボールを台に叩きつけるイメージで、打ちましょう。
❺YGサーブは逆横下回転から練習する
YGサーブは、逆横下回転から練習しましょう。なぜなら、試合での使用頻度が一番高いからです。
低い弾道で、強い回転をかけられるようにします。これにより、相手に「下回転系が強くかかっている」というイメージを与えられます。
私の経験上、YGサーブを出された相手は、フリックではらってくるケースが多いです。このときに、横下回転が強くかかっていれば、次回からはツッツキでレシーブしてきます。相手に強気でレシーブさせないために、下回転系が強くかかっていることが大事です。
試合で使える一番使えるYGサーブは、逆横下回転です。
(5)YGサーブがうまくいかない ときは
ここでは、YGサーブがうまくいかないときの対処法を紹介させていただきます。
❶YGサーブで空振りをしてしまうとき
YGサーブで、空振りをしてしまうことはよくあります。スイングが独特で複雑ゆえに、ラケットにボールを当てることが難しいからです。
そんなときは、台に対して横向きではなく、正面を向いて練習するのがおすすめです。
正面を向いて、ラケットを左から右へスイングして打球します。肘の位置が下がらないように、気をつけてください。
まずは、ラケットにボールを当てる感覚をつかみます。次に、ボールをラバーに食い込ませて、回転をかける感覚をつかみます。慣れてきたら、徐々に体を横向きにしていきます。
この方法では、逆横上回転からトライすると、やりやすいです。
このように、空振りをしてしまう場合は、正面を向いて逆横上回転サーブから出す練習からしてみてください。段階を経て、習得しましょう。
❷ボールが高くバウンドしてしまうとき
YGサーブでは、ボールが高くバウンドしてしまうことがあります。このときは、なるべく姿勢を低くして、できるだけ低い位置で打つといいです。
強い回転のサーブほど、バウンドしやすい傾向にあります。特に逆横・逆横上回転は、注意が必要です。
逆横下回転も、バウンドが高くなってしまうと威力が半減します。できるだけ台に近い高さでボールを打ち、低い弾道になるようにします。
このように、サーブでボールが高くバウンドしてしまうときは、できるだけ低い位置や姿勢で打ちましょう。
❸あまり回転がかからない・安定しないとき
YGサーブで、あまり回転がかからない・安定しないときは、体の近くで打つようにしましょう。
なぜなら、体の近くで打ったほうが、力が加わりやすいからです。また、体全体を使って打つことも大事です。
そうすると、インパクト(打つ瞬間)は自ずと右腰あたりになります。タイミングも安定するので、空振り改善にもなります。
このように、YGサーブで、あまり回転がかからない・安定しないときは、右腰あたりで打つことを意識してみてください。
❹ラケットの持ち方を変えてみる
YGサーブをうまく出せないときは、ラケットの持ち方を変えてみるのも一つです。そのときだけ、他のサーブとは違う持ち方をするのです。
例えば、前方向にスイングする場合は、下の写真のような握り方がおすすめです。
人差し指が、ラケットの曲線に沿うように持ちます。中指・薬指・小指は、軽くまるめて握ります。こうすることで、手首を大きく曲げることができ、スイングも速くなります。
また、エンドラインに平行にスイングする場合は、下の写真のような握り方がおすすめです。
先ほどと同様に、人差し指がラケットの曲線に沿うように持ちます。そして中指もラバーに当て、「ピース」をするような形にします。薬指と小指は、軽くまるめます。
このように、YGサーブがうまく出せないときは、ラケットの持ち方を変えてみるといいです。
(6)YGサーブを使った有効な戦術
最後に、YGサーブを使った有効な戦術を2つ、紹介させていただきます。
❶逆横下回転YGサーブを、フォア前に出す 場合の戦術
1つ目に、相手のフォア前に、逆横下回転のYGサーブを出す場合の戦術を解説させていただきます。このとき、レシーブ範囲をフォア寄りに想定し、3球目をフォアハンドドライブで振り抜くことが有効です。
逆横回転であるYGサーブは、自分のフォア側に返球されやすいです。なぜなら、回転に逆らうバックへの返球は、ミスの可能性が高くなると相手が考えるからです。
それに、フォア前にとっさにサーブ出すと、クロスコースに返球されやすい性質もあります。これは、ストレートよりも距離が長く、ミスしにくいと相手が考えるためです。
このため、相手がレシーブで返球してくる範囲は、下図の赤い部分になる可能性が高いです。
もしバック側に返球されたとしても、回転の影響で厳しいコースにはなりません。
以上のことから、レシーブの範囲をフォア寄りに想定し、3球目をフォアハンドドライブで振り抜く戦術が効果的です。
❷逆横下回転YGサーブをバックに出す場合 の戦術
2つ目は、相手のバックに、逆横下回転のYGサーブを出す場合の戦術を解説します。このとき、相手の返球範囲をミドル〜バック寄りと想定し、3球目で回り込んでドライブする戦術が有効です。
相手のバックにYGサーブを出した場合、回転の影響を相殺するように、真ん中からややバックを狙ってくる可能性が高いです。
よって相手がレシーブで返球してくる範囲は、下図の赤い部分になる可能性が高いです。
これを狙い、3球目を回り込んでドライブする戦術です。相手のミドルに打って、5球目でフォアまたはバックを攻めるといいです。
もしくは、3球目をシュートドライブ(右に曲がるドライブ)でバックに打って、5球目でフォアを攻めるのもアリです。
このように、相手のバックに逆横下回転のYGサーブを出す場合、相手の返球範囲をミドル〜バック寄りと想定し、3球目で回り込んでドライブする戦術が有効です。
♣まとめ
ここまで解説させていただいたように、YGサーブは難易度の高い、威力のあるものです。
習得には時間が必要ですが、マスターすれば大きな武器になります。試合で大きな得点源となり、相手にプレッシャーを与えることができます。
チキータが得意な方や、手首がやわからかい方は、ぜひ挑戦してみてください!!
次回は、ドライブとは!?打ち方/やり方とコツ〜フォアハンドドライブの仕方を紹介させていただきたいと思います。