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冬季北八ヶ岳でテント泊 3 ニュウへ

高見石から見た夜景

夜8時を過ぎ、高見石で夜空を眺めるために上下ダウンの防寒着を来て、カメラを懐に入れてテントから出るとツーンとした冬の冷気が顔に当たります。
私は普段寒冷地に住んでいるからか、寒さには強いのかもしれません。
その代わり暑さには弱いのですが。

テント場から高見石に登ると、同じテント泊の方がすでにカメラを三脚にセッティングして、撮影を始めていました。
私は三脚はなく手持ちで頑張ってみましたが、自分の技術と機材では上手く撮れませんでした。

ここ高見石は見晴らしがよく、360度景色が見渡せるので、遠くの街の夜景も星空もきれいに見えます。気温は−10℃を下回っています。
とりあえず撮影も出来たし、星空も堪能出来たので、早々にテントに戻って寝ることにしました。

山に登る人は大概みんな早起きして、日の出と共に、もしくは日の出前から登山を開始するため、夜更かしはしません。

早い人は19時位に寝ている人もいるので、夜になったテント場では、音を立てないように気を使う必要があります。
隣同士がくっつき合うくらいにひしめき合ったテント場でも、20時位になるとピタっと静かになるものです。

寝る前の準備として、朝すぐに使えるようにお湯を沸かし、サーモボトルに入れておきます。冬山で身体を中から温めることができるお湯はとても大切です。
朝すぐに食べられるチョコバーやゼリーも準備しておきます。

水は凍らせないようにザック中へ、靴もビニールに入れてザックに入れておきます。

上下ダウンを着て、ダウンソックスを履き、寝袋に包まれば寒さは感じません。
寝袋は、ナンガのオーロラライト750dxです。
シートゥーサミット製のインナーシュラフ、サーモライトリアクターもシュラフの中に入れています。
外の最低気温を測っていなかったのですが、明け方の気温でおそらく-13〜14℃位だったように思います。
この時期の八ヶ岳としては気温が高い方だろうと思います。
テントの中は少し温かくなるので、寝る間際のテント内は-8℃位でした。

朝6時頃に目が覚めて、いつもなら準備して登山開始するところですが、せっかく高見石の側で泊まっているので、日の出を見るために高見石にまた登ることにします。
夕べ写真を撮っていた方も、すでにカメラのセッティングをして日の出を待っているところでした。

東の空が色づきはじめた。
下に高見石小屋、奥に中央アルプス
山に隠れていた朝日が顔を覗かせる。

山の上で日の出を迎えられるのも、泊まりの登山の醍醐味です。
朝日を見ると圧倒的な安らぎを覚えるのは、きっと人間が野生で暮らしていた頃の記憶があり、危険な夜を無事過ごすことができた安堵感から由来するものなのかもしれません。
朝を迎えて陽の光を浴びる時の高揚感は、圧倒的な安心感なのでしょう。

早朝、ザックに入れておいたプラティパスの中の水が半分凍っていました。
冬山ではこの容器はあまり適さないのかもしれません。

完全にではないが半分凍った水

テントをデポして、8時頃登山開始です。
この日は中山展望台から、もし行けそうなら天狗岳まで行ってみるつもりでした。風が強まる予報だったので、天候次第と考えていました。
結果的に稜線上は強風だったので天狗岳は諦めて、ニュウを周回して高見石小屋に戻るルートにしました。

中山展望台への道はトレースしっかり

樹林帯の中なので、風が強くても大丈夫でしたが、中山展望台は木はなく、吹きさらしでかなりの風が吹いています。
稜線に出る前にゴーグル、バラクラバ、ハードシェルのスノーカフまでしっかりと留めて備えます。

完全防備

風でトレースなどは完全に消えています。
それでもホワイトアウトということにはなっていないので、標識も見えます。
夏に一度来ているので、様子は分かりましたが、あまり分からなければ戻っていたかもしれません。

中山展望台から。2つの天狗岳がくっきり見える
中山山頂は樹林帯の中

標識と時折GPSの方向を確認しながら、強風の中山展望台を抜け中山山頂へ着きました。
ここを抜ければあとはほぼ樹林帯の中なので、風の影響を受けません。

天狗岳山頂は、遥かにこれ以上の風なのは容易く想像がつきます。
今回はニュウだけ目指して、ゆっくり帰ることにします。

気持ちいい樹林帯の登山道
風で雪煙が上がっている

樹林帯から少し開けた所から、雪煙の上がる天狗岳が見えます。

ニュウから見た天狗岳
ニュウから見える富士山
ニュウ山頂

ニュウ山頂も、すごい風で長居していられませんでした。
景色は富士山まで見えて最高によかったです。

それにしても、ニュウというのは、面白い山の名前です。

前年の夏にも登り、周辺の樹林帯や苔の美しさも魅力です。
その苔の森も、冬は雪に囲まれて夏とは全く違った景色になっています。
白駒池近くまで下っていくと、小さな白駒湿原があります。
こじんまりとしてとてもきれいな湿原です。

白駒湿原の木道
雪に覆われた白駒湿原

湿原からしばらくすると白駒池に戻ってきました。
この後、高見石小屋へ戻って下山です。

白駒池

高見石小屋へ戻る途中、風で舞う雪が、陽に照らされる光景がありました。
山へ入っていると、心を動かされる景色が度々見られます。
その度に、来てよかったなあとしみじみ思うのです。

風で舞う雪

高見石小屋へ戻りテントを撤収して、小屋で名物の揚げパンを食べることにしました。ここの揚げパンは本当に美味しいです。
今回は、きな粉味と、ゴマ味にしました。

揚げパンとコーヒー
薪ストーブが身に沁みる
薪ストーブをスケッチ

下山はワカンを履いて下ることにしました。

下山時のザック
終始ワカンで下山

大体予定通り、15時半に稲子湯に戻ってきました。
残念ながら、稲子湯の営業時間を過ぎていて温泉には入れず。

他の車はほとんどなくポツン

念願の厳冬期八ヶ岳でテント泊ができて、冬季ならではの景色が堪能できた山行になりました。

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