風野瑞人@カイエcahiers、未来
かつて「詩学」の新人。cahiers同人。未来・黒瀬欄所属。元・東京コピーライターズク…
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インスタのアカウントを少しPRします
このSNSの大きな海原で 私のことを見つけてくださり ありがとうございます こちらのnoteアカウントは 詠草を中心にアップしていますが 一首詠については、「 #NoWar 」をテ…
未来2024年2月号詠草 『受けいれる』
未来2024年2月号詠草 『受けいれる』 風野瑞人
生きていることがデジャブになっていく 陽ざしに光る揺れない水面
かじかんだひとさしゆびを差し出して風を求める いやもうやめる
運命はただの確率だっただけ 襟を立てるともてあそばれて
追いかけて追いつけなかったうさぎの眼 あるはずだった未来を見送る
白い息 氷るひとりごと 散策のたびに唱えてみるのも終わり
せめぎあう草木の記憶だけを抱
未来2024年1月号詠草『フラジャイルを生きる』
未来2024年1月号詠草『フラジャイルを生きる』 風野瑞人
マントルに揺られてメトロポリタンのそびえるビルの不確かと生きる
ふしあわせばかりを書いてAIに答えを求め突き放されて
幻の声とたたかう統合のとれない自我をささえる仕事
善人でいるのに疲れプラカード掲げるひとの行列を見る
王国は鏡のなかだけ もう二度とひとの襟首をつかむこともない
口角をわずかに上げる あいまいな壁にかこまれて
未来2023年12月号詠草『こわれた街だ』
未来2023年12月号詠草『こわれた街だ』 風野瑞人
週一度燃えないゴミの物語る文明というエントロピー
くるくると回転ドアの風圧に飛ばされた先 だれもいない
心理的損傷 今日も何食わぬ顔で書かれたカルテのタワー
ものうげな疫学教授の「諸世紀」がスマホのタップで波へと変わる
ひとりでは渇いてしまう リモートでそっと見せあうあぶない約束
ドップラー効果ひびかせすれちがうingのシンドローム