妹を看取った時のこと⑩:魂で結ばれた人たち
*2023/6/23作成
**「妹を看取った時のこと」シリーズはこれで終わりです
妹を緩和ケア病棟で看取った時のお話ですが。
彼女が最期の時を迎えた時、実はぼくは彼女のそばにはいなかったんですよね~。
彼女がその病院に入って1ヵ月ちょっと過ぎて、見る見る状態が変わっていって。
ぼくの中で「覚悟」ができてきた頃に、病院から「すぐ来てください」という連絡をもらいました。
いわゆる危篤という状態です。
それはもうめちゃめちゃ緊迫感たっぷりで、妹の恋人さんと一緒に病室にこもり。
そして、まる一日が過ぎて、「これは長期戦やな、腹ごしらえせにゃあ」と思って。
病院内の売店でおにぎりみたいなのを買って、ぼくが先に控室みたいなところで、気を抜いてお腹を満たして。
彼氏さんと交代しようと思って病室に戻ると・・彼氏さんは静かに泣いていて、彼女は息を引き取ってました。
最初は、「なんか、取り返しのつかないことをやってしまった~!!」と気が動転しましたが。
彼氏さんの話だと、ぼくが席を外していた十数分の間、彼らは遊んでたんだとか。
彼女が動かした腕を、彼氏さんが元に戻してあげたのに、彼女はまた動かして、また戻して・・を繰り返すという、そういう「遊び」。
彼女は弱い息しかできず、その腕を動かすこと自体、相当がんばってたんでしょうけれども。
・・そしていよいよ、彼女の腕が動かなくなって、息が止まり、彼氏さんは看護婦さんに連絡したのだとか。
ぼくが来た後にお医者さんたちがやってきて、臨終の確認をしてくださいました。
彼氏さんからその「最後の遊び」の話を聞いたとき。
ぼくは自然に、「その場にいなくてよかったなあ~」と思いました。
二人だけの最後の時間、心を通わせていた、二人がお別れする特別な時間だと思ったので。
ぼく的には、そりゃ最期の瞬間は妹の手を握ってたかったですが。
きっと神様の視点からすれば、ぼくはお邪魔虫だったんでしょう。
というか、神様なのか妹なのか彼氏さんなのか、知りませんが。
「何らかの力」が働いて、ぼくは別室で休憩=退場させられてたのでは?とさえ思います。
確かに家族というのも、強い結びつきなんでしょうが、ぼくのイメージとしては(スピリチュアルな話ですが・・)。
家族というのは、生まれる前の魂が、お互い成長しようねと言って作ったチームなんじゃあないのかなあ・・と思っていて。
父親とか子供とか配偶者とか、今回の人生でのそれぞれの役割を担って、色々ぶつかり合いながら、直接的に間接的に学んでいく相棒のようなもの、だと。
そんな「家族」とは別の結びつきのレベルとして。
ずっとずっと大昔は一つの魂だったけれども、長い時間を経て、別々に別れてしまった魂の片割れ同志、というのがあるようで。
「ソウルメイト」とか、「ツインソウル」などと呼ばれるそうですが。
妹と彼氏さんは、そういう「魂レベルで結びついた人たち」だったんじゃあないのかな?と。
そういう人たちの前では、あっさり、「そりゃ退場させられても、しゃあないわ~」と思えるのです。
いやあ~すごいもん見たなあと(実際は見てませんが・・)。
死別それ自体はとても悲しいことなのだけれども。
人生の最後にこういう瞬間を経験できるのであれば。
その部分だけ切り取れば、それは素晴らしい時間だなあと思うのです。
ちなみに、妹は元気な頃、彼氏さんにこう言ってたそうです。
「私がもし死んでも、すぐ別の人になって生き返って、また会いに来るから・・」と。
普通に聞くと、背筋がゾクッとするセリフですが。
「いやあ、ひょっとしたらあるかもね~???」と思わずにはいられません。