弥生時代の周溝墓?黒髪南キャンパスで現地説明会
情報融合学環のDX棟の建設工事に伴い行われた熊本大学埋蔵文化財調査センター(埋文)の発掘調査の現地説明会が25日、学生向けに行われた。熊本県内では例が少ない弥生時代の周溝墓の可能性があるといい、現在調査を進めているという。
調査地点は黒髪南キャンパスの工学部百周年記念館の裏手に位置しており、これまで周辺の調査地点では古代の官道跡や駅跡が検出されており、今回の調査でも弥生時代、奈良・平安時代、江戸時代、近代の各時代の遺構が確認され、これまでの調査と併せて古代の集落や駅などの行政施設の全体像が明らかにされることが期待されるという。また、今回の調査では弥生時代の甕棺墓が1基発見されているが、この甕棺墓を中心として取り囲むように4条の溝(周溝)が掘られている状況が確認できた。
28日に市民向けの説明会が行われるのに先んじて、文学部歴史学科の学生らに対する先行説明会が行われ、学生たちは担当者の説明に熱心に耳を傾け、質問などを重ねていた。
説明を行った埋蔵文化財調査センターの山野ケン陽次郎助教は「後代に工事などで破壊されており、残存状況は良好ではないが、熊本県内では例が少ない弥生時代の周溝墓である可能性があり、墳丘は推定で1.5mほどになるかもしれない。また、周辺から出土した土器片や丸石は、その配置や形状(礫石ではなく河原石をわざわざ持ってきている)から、何らかの祭祀に用いられた可能性がある」と指摘。周溝墓に関しては現在詳しい調査を進めているといい、「これまでの周辺の調査結果とも合わせて、データを三次元的に集めることで、より正確な分析ができる」と述べた。
また、近代の地層からは旧制第五高等学校時代の遺構も出土しており、当時使用されていた食器や医薬品の瓶などが検出されている。山野助教は「(食器など)一見面白みがないものかもしれないが、こうしたものは現在と過去をつなぐ重要なピースでもある。近代の地層の調査は予算や手間の問題から行われない場合もあるが、五高時代の歴史が現在にまで連続している熊大では近代部分の調査も重要になってくる」と話した。
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