人生邂逅 ・まなび編 ◆日常から -31
北摂文化大学講演会 第2回 映画字幕翻訳者 戸田奈津子さん
7月23日(日) 猛暑の中にもかかわらず吹田市メイシアターはほぼ満席。
80歳を超えておられますが、若々しく矍鑠とされています。
演題は「映画とともに半世紀」
ご自身のキャリアー、映画と字幕翻訳について、そして当然ながらトム・クルーズ。
この3本建ての構成でした。
まずは、米国の映画関係者のストライキでトム・クルーズが来日できなくなったことの説明から。 来日予定直前に直接電話があったそうです。
ココから本題ですが、
キャリアーについては、
好きなことをとことん追求した結果 映画一筋50有余年。
全ての始まりは、終戦直後に見たGHQの映画に魅了されたこと。
終戦ですべてを失った時に、アメリカの裕福な生活を見せられた衝撃がきっかけで、なんでもいいから「映画」に関わる仕事をしたい。と心に深く刻み込まれたそうです。
その後、長期の下積みを経て、字幕翻訳を手掛けられたのは、10年後の1970年さらに10年後に話題作となった「地獄の黙示録」で本格デビューとなります。
戸田さん曰く、世の中甘くない、そう簡単に満足のいく仕事に就けることなどないんだから、5年、10年頑張って耐え抜くことが大事。
そのために、自分が本当に好きなことを見つけること。
3歳ぐらいまでに、何が好きだったのか、身近な人に聞いてみると分かる。
そう言われても、もはや手遅れ?! 今となっては聞く人がいません。
また、英語で大事なのは「読み、書き、そして文法の基礎」 だそうです。
今の人はすぐ、話すようになりたいと近道しようとするが、それは間違っているそうです。
次に映画の字幕翻訳について、とても意外だったのは、字幕の翻訳に必要なのは8割は日本語力とのこと。
もし、台詞を直訳したら、画面は文字だらけで訳は分からない。
それを役者さんが話す時間に合わせて、どう表現するか。
どれだけ簡潔に、意味を損なわないで表現するかは、まさに日本語力によるそうです。
そして、強調されたのは、ジョークほど難しいものはない。
ジョークを理解するには、その国の文化や歴史、習慣などが下地にないと絶対に無理。
周囲が笑っているのに、一人取り残されることが往々にしておきます。
これは翻訳の問題ではなく、観るヒトの教養の問題。
最後は、トム・クルーズを熱くあつく、語られました。
トム・クルーズの魅力! それは、全てはファンのために
徹底したプロ意識:前作(?)の水中での格闘シーンのために心臓の鼓動数を制御し酸素消費量を減らすことで、6分半まで潜るように鍛錬したそうです。
そして、
人間性:ファンイベントでも最後のひとりまでサインに応じ、途中で退席するようなことは絶対にしない。
と、絶賛!
この講演を聴いてから、ミッション:インポッシブルを映画館で観ましたがやはり感じ方が変わったように思います。
英語の翻訳も味わい深く読ませて頂きました。
でも、残念ながら ジョークはやはり、分かりませんでした。