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人生邂逅 ・まなび編            ◆体験談から ー13ー3)

課長試験からのまなび ~ ”中堅特約店さん” を輝かせる

当時のソニーの昇格試験は、係長代理と係長は筆記試験のみ。                       課長試験になると、論文とそれに関する面接、口頭試問がありました。
これはかなり難関で、部署にもよりますが、半分合格すれば良し。だったように記憶しています。

一番のポイントは、面接でのプレゼンテーションとそれに関する質疑応答です。
与えられた課題に対して、現在の自分の職務内容を踏まえて論文にして事務局に提出しその後、日時指定での面接実施となります。

もちろん、ぶっつけ本番など論外で、部署によっては、事前に何度も練習をさせられます。
プレゼンの資料つくりから始まり、プレゼン、質疑応答。と、最低でも2か月くらいはかけて先輩や上司に面倒を見てもらうのです。

わたしが首都圏営業時代に、メンバー数名の受験指導をさせてもらったのですが、その中でとても印象に残ったプレゼンがありました。

彼は、中堅規模の特約店さんを複数社担当していました。
彼が取り上げたテーマは、業務の課題と対応策。といったようなものだったと思います。

中堅の特約店さんはある意味中途半端で、伸びしろをどこに見出すかが課題となっていました。
当時は、業務の効率化が進められており、情報提供などもネットを通じて行い、営業マンがわざわざ足を運ばなくても済むようにしようとしていました

もちろんこれは時流に乗った施策であり、まったく間違ってはいないのですが、
彼は、ここに一石を投じようとしたのです。

特約店さんには、それぞれに個性があり、これを丁寧に見極め磨いてあげることで輝きを増す存在になりうる。

「山椒は小粒でピリリと辛い」

現在進めている画一的なフォローでは、意味がない。
というのがかれの主張でした。

たしかに、そうだな!
あの店は、鉄道業界にはめっぽう強い。
あの店は、音響設備に高い技術を持っている。
あの店は、専門学校に強い人脈がある。
などなど、

その特約店さんごとに、その生い立ちや技術力などから実に個性的なお店が多くあるのです。

効率追求とは逆行する面はありますが、急がば回れ
業務効率が上がることで捻出できる時間的余裕を特約店さんの個性をよりよく知る。ために使い、それを活かすための具体的施策を考え実践する。という考えです。

わたしは、さもありなん! と感心しました。


当然ながら、彼は見事に課長試験に合格しました。

そして、このプランを粛々と実行することになり成果に繋げてくれました。


大手の化学メーカーから転職し、本社の経営企画部門でそれこそ出井さんの直下で薫陶を受けた経験もあるそうです。

スタッフの仕事よりも実践の場を求めて、営業の現場にあえて身を置いた 彼らしい生きざまを課長試験を通して、垣間見させてもらいました。


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