キム・ジュヒョクの思い出
10月30日は俳優キム・ジュヒョクの命日。最近までBSテレ東で主演ドラマ「ホジュン〜伝説の心医〜」を毎日放送していたこともあって、改めて彼について思い出していた。あれから3年が経つけれど、変わらずナム・アクターズの所属俳優だし、今もどこかで映画を撮っているのではないかという気がする。
作品を見るたびに「味があっていいなぁ」と感じさせてくれた素敵な俳優だった。特に好きなのは『どこかで誰かに何かあれば間違いなく現れるMr.ホン』で演じたホン班長。オム・ジョンファとのカップリングもぴったりで、最高にチャーミングだと思う。『青燕』の清廉な主人公も印象に残っている。ヒロインの女性飛行士を演じたチャン・ジニョンも11年前に亡くなったことを思うと、より切なさが募る。『毒戦』の麻薬中毒のバイヤーのような強烈な役も良かったけれど、やっぱりラブロマンスの肩の力が抜けた感じのこの人が好きだ、と振り返ってみて思う。
真面目で無骨そうに見えて、二世俳優で都会的な雰囲気もある人だった。一度だけインタビューする機会があり、作品の話のほかに、洋服が好きで代官山や表参道によく買い物に行くという話を楽しそうにしてくれた。彼の話とは別に、この時のことで今もよく憶えているのがキウィジュースの味。ソウルのリッツ・カールトンホテルの中庭のカフェで、「ここはキウィジュースが美味しいんですよ」と彼に勧められて飲んだその美味しさを、折に触れて思い出す。いつか再訪したいと思いながら、叶わないままでいる。
名優キム・ジュヒョクの話がキウィジュースで終わってしまってはあんまりなので、彼が話してくれた言葉を書き記しておきたい。
「良い俳優というものは、器に合った役をやりながら幅を広げていく、そんな俳優だと思っているので、今後も好きなこの道で、そんな風に一生演技して生きていきたいです」。