いざという時に命を守る最前線!世界の災害時・有事の緊急通知システムの今
緊急速報システム、もはや現代社会の生命線……。
世界中で自然災害が頻発し、私たちの安全を脅かしている昨今。迅速かつ正確な情報伝達は、人命救助や被害軽減のために絶対不可欠なものですよね。
とくに日本のような地震が多い国に住んでいると、緊急地震速報のようなシステムの情報は素早く逃げるために重要だし、身を守るための備えとしてどうしても気になってしまうもの。そこで、わたしなりに「世界にはどんな緊急速報システムがあるの?」と気になって調べてみることにしました。
ちなみに日本は言わずもがな、地震と津波対策に力を入れてきた歴史があります。気象庁の「緊急地震速報」は早めに揺れを察知して、テレビやスマホのエリアメールに一気に通知を飛ばしてくれるので、数秒前の警告でも「隠れる時間を作れるだけホッとする」という声をよく耳にします。さらに「Jアラート」は、弾道ミサイルや大規模テロなどにも対応した仕組みで、衛星経由で瞬時に全国へ流すのはかなりハイテク。
緊急速報システムの意義と進化
そもそも緊急速報システムは、災害が起きた瞬間にいち早く情報を共有して、被害を抑えるのが狙いです。昔はサイレンや街頭アナウンスくらいしかなかったけれど、携帯電話やインターネットの普及で、いまや一瞬で広範囲に通知が飛んでくる時代になりました。昔に比べれば、ずいぶん安心感が増したと思います。けれど、多様な方法でお知らせを受け取れるようになったぶん、「どのやり方がいちばん有効なのか」は国や地域によって異なるみたいなんですよね。
それでも共通しているのは、「速さ」と「正確さ」が大事ってこと。数十秒や数分の猶予でも、避難先を探したり、身を守る体制を整えるには大きな意味を持ちます。さらに最近では、双方向でのやりとりが可能になるように進化していて、「いまここが危ない」「もう安全だよ」といった住民からの返答や、行政からの追加情報などがリアルタイムで行き来できる仕組みも増えてきました。
世界の緊急速報システムをちょっと詳しく
まずアメリカ。連邦通信委員会(FCC)が管轄する「ワイヤレス緊急警報(Wireless Emergency Alerts:WEA)」という仕組みがよく知られています。WEAは、携帯電話の基地局から一斉に警報を送信する仕組みで、特定の地域だけに配信したり、国内全体に配信したりと柔軟に設定できる点が特徴です。大統領警報、差し迫った脅威に関する警報、子どもの誘拐に関するAMBERアラートなど、複数のカテゴリが存在します。
西海岸だと「ShakeAlert」という地震警報システムがあり、「日本の緊急地震速報に似ているな」と思わず親近感が湧きました。また、「Next Generation 911(NG911)」という次世代通報システムの開発も進められ、音声だけでなくテキストメッセージ、画像、動画といったさまざまなメディアで通報できる環境を整備しようとしています。これにより聴覚障害者など、音声通話が困難な人でも緊急通報が行いやすくなり、双方向性の拡充と合わせて利便性が高められています。
いっぽうEUは加盟国間で連携する「EU-Alert」という仕組みを使い、それぞれの国が共通ルールを設けつつも独自に運用しているようです。洪水や暴風雪、テロといった災害や事件にも対応しているらしく、情報共有や共同訓練などを積極的に行なっているとか。国境をまたいだ支援体制も整いつつあるので、「いざ」というときには心強いですね。
カナダの「Alert Ready」は、豪雪や森林火災、さらにはAMBERアラートという子どもの誘拐対応など、幅広い事例で運用されているのが特徴みたいです。オーストラリアの「Emergency Alert」は、大規模な森林火災(ブッシュファイヤ)や洪水が主なターゲットで、固定電話やSMSを通じて警報が飛んでくる仕組み。豪州の広大な内陸部では通信インフラが脆弱な地域もあるため、カバーエリアの拡充と通信回線の信頼性確保が課題みたい。
そして韓国や中国のシステムも興味深いところ。韓国は「災害メッセージ」があって、アプリ不要で携帯に直接通知が来るので便利だけれど、まだ多言語化が十分じゃないとか。中国では、国家緊急情報発信システムを中心に、各省・市レベルで地震や洪水、雪害などさまざまな災害情報を共有できる枠組みが整えられています。特に地震の早期警戒ネットワークは世界最大規模ともいわれ、全国で数万ヶ所の観測点を使い、「数秒~数十秒前」の警報を発信する体制の構築が進められてきました。中国は国土が広く、人口も多いため、地上波放送、携帯電話、インターネットなど多彩なメディアを活用するのが特徴みたい。
課題や今後の展望が気になる……
これだけ頼もしい仕組みが充実してきたものの、「実際に被災したときにちゃんと動くのか」「ほんとうに誰でも受け取れるのか」って心配事は残るんですよね。たとえば大規模地震で通信がダウンしちゃったり、海外からの観光客が言語の壁で情報を活かしきれなかったり、誤報が続いて住民が「またオオカミ少年か」と信用しなくなってしまうリスクも考えられます。
一方で、技術進化もすごくて、AIを使った災害の予測や(従来の地上インフラが被災した場合でも)衛星通信をバックアップに活用する動きなど、これからさらに「速く・正確に」を極めていく余地も大きいはず。マルチ言語対応やアクセシビリティへの配慮も発展中で、様々な立場の人により多くの恩恵を受けられるようになりそうです。
結局大事なのは「機械に頼るだけでなく、住民も自分の身を守る意識を持つこと」ではあるものの、瞬時に通知が届いて、逃げるきっかけを作ってくれたり、どこに避難すればいいかを教えてくれたりするのは大助かりです。そんな緊急速報システムが、世界中で進化を続けているというのは、やっぱり安心材料でもありますよね。