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花寄せ 野あそび茶会
花は野にあるように。
利休七則では「一輪の花からも野を思い起こせるように」と説かれています。
何もない能舞台がまるで桜が満開の山であるかのように見える、あの境地が理想です。
春のお茶会では、いつもお客様に一輪ずつ花を選んで生けていただきます。
北鎌倉・宝庵のお庭に咲く花を台に載せてお出しし、自由に入れていただく趣向です。
少し経って襖を開けると、そこには春の野が。
都忘れ、二人静、小手毬、紫蘭、
5名のお客様がそれぞれ入れられた花が、みごとに咲いています。
私はこの瞬間が大好きです。
特に作為もなく、その時の気持ちに添いながら、でも先に入れられた花とのバランスを考えながら、そこに景色を作っていく。
お茶が初めての方でも、特になんの説明もしなくても、そこには北鎌倉の春の野が広がっています。みなさますばらしいなぁ、といつも感嘆するのです。
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シャガとシダが加わっています。
花入は後藤久慶さん作
花月の「三友之式」では、この花寄せが組み込まれていて、香、茶、花の「3人の友」として楽しみます。
そこから思いついて、お茶をお出しする前にこの「花寄せ」をお客様にお願いするようになったのですが、亭主からの一方的な働きかけではなく、一緒に茶席を作り上げていくようで私としては気に入っています。
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亭主からは山躑躅を生けました。
花入は角居康宏さん作
北鎌倉の春の野に遊ぶひととき。みなさま堪能いただけましたでしょうか。。
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