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無機質をもとめる拒食と過食

1年間で10kg太ってしまいました。

私は今、とてつもなくうろたえています。

その結果、あわてて始めたのはレコーディングダイエット。
食べたものを記録していくことで、食のセルフコントロールができるようになるというものです。

運動が大の苦手な私は、ダイエットというと食事制限を選ぶほかありませんでした。
「苦手だろうがなんだろうが痩せたいなら動きなさいよ」という啓示には耳をふさいで目をとじて、自転車通勤の往復30分に身を隠しています。

とはいえ、現在のBMIは22ほどで中肉中背というやつです。
幸いなことに、周りから「痩せたほうがいい」とか「太ってる」と言われることはまずありません。

けれども、10kg増という数字は重くこころにのしかかります。
からだの重さと合わさったら20kgにも30kgにもなりそうなくらい重いです。

とにかく、10kgも増えたという事実が受け入れられません。

しかし、なぜ10kgも太ったというのに中肉中背なのか。

それは、ちょうど1年前の私が頬がこけ、あばらが浮くほど痩せていたからです。当時のBMIは17ほどで、不健康レベルの痩せ形でした。

痩せた理由はくすりの副作用です。

ADHDの治療薬として処方されているコンサータには、食欲減退という副作用があります。

このくすりを飲み始めたのは確か2019年の春ごろで、そのとたんに食欲はぐっと落ちました。
食べることを強く意識しないと食べ忘れてしまい、食べたとしてもトースト1枚で満腹になるほどでした。

食べることをあたまが忘れます。
からだが拒みます。

まるで拒食症のようでした。

その副作用が抜けてきたのが2020年の春ごろ。
一人前の食事がからだに収まるようになると、しだいに深夜の過食が増えていきました。

周囲から「食べなさい」「もう少し太りなさい」と言われるのを免罪符にして、深夜に食パンやお菓子をむさぼる生活です。
もちろんお供はコーラ。ちょっとだけ意識してトクホを選んでいたあたり往生際が悪いですね。

過食を始めたばかりのころは、太ることへの恐怖から嘔吐もしていました。
じょうずな吐き方を調べてシリコンチューブまで購入したくらいです(結局チューブはうまく使えませんでしたが)。

まったく愚かすぎます。

摂食障害のいち見本のようです。

嘔吐は数週間でやめられたのですが、過食はその後も続きました。

その結果、冒頭に至ります。

よくよく考えてみると、BMI17になる以前と今の体形はほとんど同じなので、もとに戻って健康的になったというほうが正しいのかもしれません。

けれども、10kg増という数字は圧倒的に「おまえは太っている」という感覚を与えてきます。

人生でいちばん太ってしまったのではないかと思わされます。

痩せ信仰というのでしょうか、痩せているほうが美しいという感覚はやっぱり根強いです。
手足が棒のように細くて、おなかが板のように薄いのがきれいだと思ってしまいます。

それは、私が考えるかわいいや美しいがお人形だからかもしれません。

痩せ型のほうがなんとなく無機質な感じがしませんか。

たとえば今流行りの韓流アイドル。
プラスチックやシリコンを思わせる真っ白い肌が包むからだは、総じて棒のように細長く、板のように薄いのです。

そこには熱を感じません。
体温を感じません。

その無機質さに惹かれてしまいます。
求めてしまいます。

だから、いちど経験してしまったBMI17のからだは忘れたくても忘れられないのです。

不健康だとしても、あのころに戻りたいとどうしても思ってしまいます。

顔立ちはメイクで変えられますが、からだは球体関節人形やプラモデルのように組み替えることなどできません。
粘土で成形するように、こねて削って継ぎ足して、みずから作っていくしかありません。

そうして始めたレコーディングダイエット。

食べなければ痩せると知っているあたまが、まんまとそれを選択させます。

まったく愚かすぎます。

だって、食べずに痩せて過食に陥ったというのに、またも食べることをやめるというのですから。

負のループを繰り返そうとしているのですから。

こんな私におすすめのダイエット法をお持ちのかたがいましたら、ぜひご連絡をお待ちしております。

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