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ジェネレーション・ギャップを感じた『ゲーテはすべてを言った』
第172回芥川賞受賞作の『ゲーテはすべてを言った』を読みました。
ゲーテを研究する大学教授が名言を追い求める話です。
純文学、ヒューマンドラマとファンタジーをミックスしたような作品なので、純文学が好きな人にはいいと思います。
あらすじ、解説は他の人がたくさん書いていると思います。だから、ここでは個人的に感じた点を書きます。それは、ジェネレーション・ギャップです。
本書を読んで似ていると思ったのが『悪役令嬢転生おじさん』です。異世界転生のラノベです。全く関係ないジャンルで申し訳ないです。
主人公の屯田林憲三郎は52歳の公務員。52歳が乙女ゲームの悪役令嬢に転生するという話です。アニメが配信されていて、人気ですね。
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出所:https://tensei-ojisan.com/character/
『悪役令嬢転生おじさん』を見ていてジェネレーション・ギャップを感じるのが、屯田林憲三郎の描写が磯野波平(54歳)な点です。
52歳のオジサンが世の中でどう見えているか?
・オジサンはソロバンを使う
・オジサンの髪型はバーコード
そんな52歳は日本にいません。
でも、異世界ファンタジーだから違和感はありません。コメディとして楽しめます。
『ゲーテはすべてを言った』の主人公の博把統一(63歳)の描写はオジサンというよりもお爺さんです。磯野波平(54歳)+10歳をイメージして描かれているのでしょう。現実の60歳代とはズレがあるようです。私の伯父(80代)の話のような印象を受けました。
たとえば、村上春樹さんの『街とその不確かな壁』にオジサンがでてきます。このオジサンはファンタジー世界に生きるオジサンです。なので、「そんなオジサンいねーよ!」と思っても受け入れやすいです。
本書はファンタジー要素が薄いから、「そんなオジサンいねーよ!」が目立ちます。
オジサンのイメージを磯野波平(54歳)から福山雅治(56歳)へ!
そんな意識改革が必要ですね。私が本書を読んでそう思いました。
全然作品を紹介していませんが、興味のある人は是非ご覧ください!