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10年ぶりの腸脛靭帯炎が教えてくれたこと

走るのにハマり、そして怪我へ

自分が走り始めたのは、40歳を過ぎてから、2012年からでした。

なんの気なしに始めたランニングが楽しくて、どんどん走るのにのめり込んでいきました。そして膝が痛くても、走るのをやめずに、むしろ痛みながらも走るすべを模索していました。痛くても走るのをやめたくないので、無理して走り続け、痛め続けた結果、走ることができなくなり、通院して三ヶ月ほど走るのを休んだことがありました。

走るのに向かない身体?関係ない!

私は元々、円形半月板という半月板が大きいようで、レントゲンを撮影してもらって説明を受けました。怪我(腸脛靭帯炎)とは直接関係ありませんが、半月板が接触して擦れる範囲が大きく、走るのには向いてないと医者に断言され、運動は水泳か自転車を勧められ、走るのを止めるようにと勧められました。

当時走るのが大好きだった自分にとってはこの提案は「死刑宣告」みたいなものでした。その提案を受けてから奮起して、走ることだけでなく、筋トレや柔軟性、そして休養の重要性に目を向けるようになりました。それ以来、大きな怪我はしなくなり、フルマラソンだけでなく、100kmや100マイルといった長距離のレースにも出場して完走できるようになりました。

ちょっとした痛みや違和感に休むことに抵抗がなくなり、自分の身体の声を聴くことができるようになったのは、このときからです。

それ以来、10年以上、腸脛靭帯炎は再発しなかったのです。

突然の再発、理由は?

そんなこんなで10年以上が過ぎましたが、先月一日あけて、30km走、25km走をやったところ、25km走の途中で懐かしい膝の痛み(=腸脛靭帯炎)が右膝に再発しました。

腸脛靭帯とは膝の外側の靭帯であり、主にオーバーユースで発生すると言われていますが、仕組みとしては筋肉が固くなって柔軟性がなくなり、靭帯がこすれて炎症が起きるようです。ようするに下半身が固いのですね。

無理はしないことにしているので、一切走るのをやめて10日休んで走ってみましたが、それでもすぐに痛みが出ました。数日後にもう一度走りましたが、たった2.5km走っただけで膝が痛むようになりました。これではとても間近に迫っている愛媛マラソンでのフルマラソンの記録(サブ4)どころか完走も危ぶまれます。

走り方も、靴も、変化していないので、何が原因なのかわかりませんでした。しかし唯一、思い当たることがありました。それは日課だった毎朝のストレッチをこの数ヶ月やめてしまっていたことでした。

日々のリズムが崩れてなくなった

私のこの数年の朝のルーチンは、朝起きて、りんごを食べながら下半身のダイナミックストレッチを行い、その後で、お湯を沸かしながら上半身のダイナミックストレッチを行い、コーヒーをいれつつ下半身のダイナミックストレッチを行うというものでした。

毎朝の生活にこのリズムが組み込まれていたので、少なくとも5年以上は確実に意識せずとも続けられていました。しかし、この数ヶ月は夜寝るのが遅くなり、朝起きるのが遅くなったのと、妻が息子のお弁当を作る時間と重なって食卓でこのルーチンを行うことが難しくなり、いつしか途切れてしまったのです。

私の場合、運動は生活リズムに適応させて行うのが常です。最初は意識してやっていますが、一旦調和がとれてしまえば日課になるので続けることが楽になります。

一方、生活リズムが一旦乱れてしまうと、とたんに運動のリズムも崩れてしまいます。リズムが乱れた後で、新たなリズムとそこに合うルーチンをまた調整するのに時間がかかるのが難点です。

私は「頑張ってルーチンを続ける」ことが難しく感じるため、完全に生活リズムと調和していないと、続けることができません。

今回の膝の痛みも、このルーチンが乱れた結果、ストレッチが十分でなくなり、下半身の筋肉の柔軟性が低下して、結果として腸脛靭帯が炎症を起こしているのだと推測されます。

痛みが教えてくれたこと

痛みは不快ですが、その原因と次なる道を照らしてくれるサインである、と著書の『「アジャイル式」健康カイゼンガイド』にも書いています。

この膝の痛みは、単に走る時に発生する痛みというだけでなく、新しい生活リズムと運動リズムの再考を教えてくれるものなのであると受け取りました。あまりに当たり前になったランニングも、一旦身体が動かなくなれば、当然同じようにはいかなくなるのです。

当たり前は、当たり前ではないのです。

再び、意識して生活と身体活動のリズムを再構築するきっかけをもらいました。

ちなみに、痛み止めを使ってしまうと、身体の痛みがわからなくなり、その動きが身体にとって良いのか悪いのかがわからなくなるので使用しません。「痛みは生命(いのち)のフィードバック」なのです。痛みは不快なものですが、その痛みに寄り添うことで、そのメッセージを読み解くことが大事なことはよくわかっています。

痛みが再発しないか、直前に軽く走ることも必要です。その結果をもって、当日どのようにするかの対策を考えることにします。

痛みを抱きしめ、受容しそして、統合していく」そのプロセスを、また歩むだけです。

初めての体験をただ楽しむだけ

痛みを受け取ることと、今週末のフルマラソンをどうするかは別問題です。毎日下半身のストレッチで身体をほぐし、どうにか炎症を起こりにくくするくらいしか思いつきません。あとは、「何があってもいい」という状態で本番に向かうくらいでしょうか。

これまで10年以上、何回もフルマラソンを走っていますが、怪我や病気で直前まで練習ができないまま本番を迎えたことは何度かありました。いずれも完走自体に不安をもったことはありませんでした。

今回のように「完走自体に不安をもって望む」ことは初めてかもしれません。フルマラソンをリタイヤしたことも、時間切れで足切りされたたこともありません。ここまで予測つかないのは初めての体験です

今回はどうなるのでしょうか?歩くしかできなくなっても、ただ歩き続けることでゴールできるのでしょうか?どんな感情が訪れるのでしょうか?悔しさ?諦め?それとも喜び?

愛媛マラソンの翌週には熊本マラソンも控えており、大変ですが、きっとこの体験にも意味があるのでしょう。

迷わず行けよ、行けばわかるさ

アントニオ猪木氏はこう言いました。

まぁ迷いながら行っても、行ってしまえばなるようにしかならないので、その体験を楽しんでくるだけです。


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