カスタマーサクセス支援の改善において、ハイタッチ・ロータッチ2つの顧客接点の循環を意識したことについて
HERPでカスタマーサクセスを担当している加藤啓太 (@KeitaKatoh)です。
前回は3月に"CS Ops立ち上げの意義と専任組織をどう活かすか。立ち上げて半年で考えたこと"というnote記事を書きました。
その中で「ユーザーが自助努力で解決できる環境作り」を作っていく方針を紹介していました。
今回はそのテーマに沿って、従来カスタマーサクセスの担当者が行っていた支援を一部ロータッチ化を目指すことによって得た気づきや今後の取り組みについて紹介していきたいと思っています。
今回noteに記すことで伝えたいこと:ロータッチは手段であり、目的ではない
一通りのロータッチを取り組んでみて見えてきた学びとしてあるのが、
なんでもロータッチ化、効率化が正しいわけではないということです。
ロータッチ化を始めるとひとまず内容を網羅するようなコンテンツを作りたくなってしまったり、自分たちの業務効率化のためにあれもこれも資料化・コンテンツ化してしまおうとやみくもに手を動かしてしまいたくなりがちです。
そこでこの記事では、HERPがロータッチ支援を開始した事例を交えながら、自分たちが提供している支援内容のうち、ロータッチ化して提供すべきものの選び取り方や、効率化した先に何を考えるべきかのヒントになることを共有できればと思います。
前提:HERPカスタマーサクセスチームの体制
HERPは現時点で以下の2つのプロダクト・サービスを開発および提供しています。
また、新規サービスの検討・立ち上げも行なっています。
現在、カスタマーサクセスチームはこのようになっています。
※実は社内ではリーダー、メンバーという呼称はないのですが、お伝えする便宜上オーナーとして動いている人をリーダーと記載しています。
ちょうど昨年ごろにはたった2名だったカスタマーサクセスチームも、2022年4月時点では8名+業務委託数名と大きなチームになり、より理想的に近い体制が整い、業務標準化と比較的大きめな改善活動に取り組むことができるようになりました。
「顧客のオンボーディングにおけるロータッチ化推進」のきっかけ
ロータッチ化推進の土台になるような業務標準化と改善活動については、既に各担当が日常の気付きベースで改善のPDCAを回すということが中心でした。
この分野についてはmomo(@momo_uke)やはらあいな(@zn1south)が中心役を担っており、
打ち合わせに利用するスライドのテンプレート化や随時アップデート、
よくある運用質問や過去事例・イベントレポート・ホワイトペーパーなどの知見集をまとめるなど、明らかに1年前より進化を感じています。
そういった日頃の改善活動の積み重ねに加え、 日常の改善の中では行えないようなより大きな改善を行うために、2022年3月以降にプロジェクト化しました。
ロータッチ化推進の検討プロセス
なお、ロータッチ化という言葉について、ただ提供者目線で効率化したいという思いだけでは、「ユーザー価値」には繋がらないと考えています。
ユーザー価値起点でのロータッチ化推進できるよう、社内の検討プロセスは以下のような手順を取りました。
ユーザ提供価値に関するワークショップを社内で実施する
開発サイド・ビジネスサイドを横断して顧客に対する提供価値(ベネフィット)を整備・業務に落とし込むプロジェクトが始まる
提供価値の言語化が行われ、カスタマーサクセスが中心に担う部分の既存プロセスを洗い出す
ロータッチ化の方針
提供価値の言語化が行われた状態で、カスタマーサクセスが中心に担う部分の既存プロセスを洗い出すと、
これまでの顧客オンボーディングの支援が初期設定と基本操作に関する支援ミーティングを行い、まずはHERP Hireを使っていただくことによる「業務効率化」というベネフィットに偏っていたことがわかりました。
HERPの本来の提供価値である「現場を巻き込むこと(=スクラム採用)で採用の質を上げる」ための支援にはまだまだ伸び代があるということです。
「HERP Hireによる業務効率化」は従来通りの提供内容を顧客が自己学習できる形態にし、より理解しやすく進められるようにする
「スクラム採用で採用の質を上げる」はカスタマーサクセスが打ち合わせにて使う接点での支援を重点的に行う
という方針でロータッチ化を進めていくことになりました。
以降では、具体的にどのように取り組みをしているかと、重視しているポイントを説明します。
ロータッチ化の例:HERP Hire導入時の初期設定
ロータッチ化しているものの例として、HERP Hire導入時の初期設定があります。
HERPでは利用開始時に、オンボーディングキックオフのミーティングを行いますが、初期設定の説明が多くの時間を占めていました。
今は、こちらの内容をガイド資料による顧客のみでの設定を行い、キックオフの場では運用のすり合わせや疑問点解消を中心にすることを目指しています。
過去に支援で活用していたスライドやテキストをひとつのドキュメントにまとめ活用できる状態にしました。
対応事項ごとにスライドやよくある質問をまとめて確認できるようになっています。
こちらの取り組みについては、5月時点で数社に提供の上、ご利用後のフィードバックを伺うミーティングと合わせて実施しています。
キックオフ実施までの定期的な進捗フォローやフィードバックのための打ち合わせは現在も実施しているため、
全体で見ると大きな工数削減の成果はないのですが、 これまでキックオフ前に元々20-30分ほどかけて説明していた内容を顧客のみで完結いただいているので、現場の採用の質をあげるためのヒアリングに多くの時間を使えるようになりました。
また、現時点でも以下2つの利点も得られています。
顧客がキックオフ前に事前に設定を進められることにより、顧客自身もキックオフまでの時間を有効活用できるようになった(早く設定して利用開始したい場合に有効)
キックオフ前に基本操作を実施できるため、キックオフミーティング時点の疑問点がより具体的なものとなり、質疑応答の時間を両者にとって有意義な使い方ができるようになった
ロータッチ化すべきコンテンツの選び方
HERPとしてはロータッチ化は初の取り組みですが、8名のカスタマーサクセスがいるとはいえ、現時点でロータッチのコンテンツ化に割けるリソースは限られています。
やみくもにコンテンツ化に手を付ける、網羅的にすべてをコンテンツ化することは得策とは言えません。
顧客の提供価値に結びつけることにフォーカスするために、どのようにロータッチ化するコンテンツを選び取っていくべきか。HERPで重視しているポイントを共有したいと思います。
1.ハイタッチ・ロータッチどちらの形式が適切かをメンバー間、十分に検討する
HERPを使うユーザが得たいと考えているベネフィットごとに、ハイタッチ・ロータッチどの形式でのカスタマーサクセスの関わりが適切か、
メンバー間で話し合い、社内で合意をとるようにしています。
作ってしまえばいいと、独善的に判断を行わないようにしています。
日常的な会話や意思決定の場において、"HERPとして顧客への提供価値に結びつかない取り組みは最低限にしたい"ということは互いに意識しています。
例えば、HERP導入時の顧客企業の従業員への説明会について、
従来は顧客ごとに説明会日時を調整して、内容も各社ごとに微調整をした上で、「HERPとはなんなのか」、「どのように使うか」を説明する時間をとっていました。
HERP社の提供者視点に立つとどうしても同じ内容をコンテンツ化して行くというのが工数削減という観点で出てきます。
しかしながら、現場を巻き込むことを重視したい※という判断から、
むしろHERPでは説明会という接点を大事にしたいという結論にいたりました。
※今後HERPを日常的にご利用いただくユーザ企業の選考官の方々に、HERPのプロダクトビジョンの説明を受け、選考スピード改善や選考プロセスの最適化・人材要件の理解によって採用の質を上げることがどのように重要かを初期のうちに理解いただきたいと思ってます
将来的には説明会と別の形で上記の現場を巻き込むための接点を作るかもしれませんが、ただ工数削減というワードだけで意思決定が進むわけでないことや提供者目線だけで検討をしていないことは伝わると嬉しいです。
2.個社支援での実績があることをマストとする
ロータッチ化対象の内容は、個社支援での実績があることをマストとすることを徹底しています、これは、前職(セールスフォース・ジャパン)でスケールチームに所属していたときから意識していた考え方です。
まずは、1社1社で成果創出または活用において支援成果があった実際の事例をベースとしていずれかの形式でスケール化させていくというものでした
前職のカスタマーサクセススケールチームでは、ほぼ全員のメンバーがV2MOMと呼ばれる目標管理のテーマの中で、組織からカスケードされた目標を達成するためのメソッドの一つとして、
支援手法・コンテンツを社内共有資料として作ることを設定していました。これらを四半期から1年にひとつ残していくことで、別メンバーの顧客支援やセミナーコンテンツに流用され、成果創出が何倍にもスケールする循環が生まれていました。
この優れた成果創出の仕組みは、HERPのカスタマーサクセスでもぜひ応用していきたいと強く意識しているポイントです。
さいごに
初期設定のロータッチ化は、着手点としてベーシックなものではありますが、ロータッチに用いた資料はすべて、実際の個社支援のスライドや、実際にあった質問のドキュメントから作成されたもので、個社での支援での実例から作り上げました。
これから着手していこうとしている運用支援のコンテンツは、成果創出の実績ベースでコンテンツを作ってくことが、さらに重要なポイントとなってくるはずです。
ロータッチを自分たちの説明の工数を省くための効率化という役割に閉ざしてしまうのでなく「顧客にとってのベネフィットに対して新たな施策を実施し成果を上げる」→「コンテンツ化してより多くの顧客に提供できる」サイクルを整えることを意識していきたいです。
このようなサイクルで顧客に提供できる支援内容の量と質、幅を広げることは、HERPでも自然と各メンバーが意識しているので、今後さらなる進化を発信していければと思います!
Twitter DMなどお気軽に面談お申し込みください!(https://twitter.com/KeitaKatoh)
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