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AIを使いこなしても勝負を決めるのは自分~八冠陥落の真相 藤井聡太七冠から学んだこと~

今年6月
藤井聡太棋士が八冠から七冠になりました。
藤井棋士に勝ったお相手は 伊藤匠棋士
私は将棋に疎く、
恥ずかしながら伊藤棋士のことを
よく存じませんでした。
そして、
ニュース速報で藤井棋士が七冠になったと知り
″ あの藤井さんも負けるんだなぁ ″
と思ったことを覚えています。

先日何気なくNHKプラスを検索していたら
藤井棋士が敗れた叡王戦を
NHKスペシャルで放送されていたと知り
拝見したのです。
すると、そこには驚く光景が映りました。
叡王戦はもちろん、将棋について
詳しくご存知の方は多いと思います。
将棋に疎く ニュースも深く見ていない私が
今回記事にしていることをご了承くださいませ

番組の冒頭、叡王戦での
藤井棋士の様子が流れます。
それは私が今まで見たことのない藤井棋士。
将棋盤を前に、自分の首をパンッと叩き
正座している自分の膝をパシッと掌で打つ。
頭をガクッと下げ、
持っている扇子をポトリと落とし
自分の着物をガサッと触る仕草はたどたどしい
私の知っている
冷静・沈着な姿の藤井棋士の姿からは
想像できないような仕草。
正直、びっくりした私。
番組を見進めていくと
藤井棋士と伊藤棋士が同い年であり
9歳で対戦している映像が流れました。

この時の勝負は 伊藤さんが勝っています

更に現在もある NHKの番組「カラフル」にて
( 世界各国の10歳前後の子どもたちが
 挑戦する姿を描くドキュメンタリー番組)
伊藤棋士は 2012年(当時 9歳)で
取り上げられていました。

番組に出ている伊藤さん
当事から将棋の世界で
注目を浴びる子ども

また 小学2年生(当時 7歳)の藤井棋士が
決勝で負け大泣きする姿が映ります。
藤井棋士は笑顔で当時のことを語り
決勝で負けたから泣いていたのではなく
負ける前の対局中から泣いていた、と。
それは
″ ポカを
(藤井棋士はミスのことをポカと述べている)
 した自分が悔しくて対局中から泣いていた ″
と。

2010年将棋大会決勝で負け
大泣きする藤井さん
大泣きの理由を笑顔で語る藤井棋士


そして、番組は叡王戦へと移ります。
最終戦の105手目まで
勝率は AI予想 藤井棋士93.3%。
対局を見守る棋士は
「この対局にかける藤井叡王の
 攻めの強さを感じる」
と 述べ
伊藤棋士は105手までを振り返り
″ かなり厳しい勝負 ″ と語っています。
ナレーションも
″ 誰もが藤井叡王の勝利を疑わなかった ″
と。

そして、105手の藤井棋士。
自分の駒の銀を伊藤棋士の歩の真横に
あっさりと置いてしまう

手前 赤枠の銀は
104手までは青枠の歩の真ん前にあった

伊藤棋士は106手で斜め後ろの歩を前に。

当時を振り返る藤井棋士は
″ なんでもっと慎重に考えておかなかったんだ ″
と述べています。

将棋に明るくない私には
これが勝敗を分ける1手と気づけません

伊藤棋士がその駒を置いた瞬間、
声は出ていないけれど、
明らかに藤井棋士は
「あっ・・・」
と 口を開けている映像が。
頭をガクッと下げ
目を何度もパシパシと瞬きを繰り返す。
そこから長考40分。
対局を見守る棋士たちは
「え~もぅ訳がわからなくなってきた」と。
そして
その時の勝率をAIは
藤井棋士0%近くに一気に落としている。

伊藤棋士の106手を見て
藤井棋士の表情が 一瞬で変わる

長考した藤井棋士。真顔になり 一口水を飲む
そして一言、
「負けました」
頭をグッと下げ、叡王戦は終了します。

ナレーションは
″ 攻めた藤井 粘った伊藤 ″
と。

藤井棋士が「負けました」と
頭をグッと下げている光景は
私の胸に響きました

叡王戦を見て、羽生善治九段は
「将棋は AIの影響は避けて通れない
 しかし、
 人の個性やその人となりのスタイルがあり
 そのオリジナリティをいかに残せる棋士か
 今は問われている」
と語っています。

次に
藤井棋士と伊藤棋士のお二人の表情が映ります
とてもリラックスしてにこやか。
対局を終え、1時間語り合ったとのこと。

2人の笑顔の映像を観て
心からホッとした私。

対局後、時間を置いて
お二人へのインタビューが流れます
藤井棋士は
「伊藤さんは自分にはない強さを持っている
 今回の勝負は少し残念だったけれど
 非常に刺激になることでした」
と語り
伊藤棋士は
「藤井さんはずっと自分の目標でした。
 自分にとって ″ 教祖的な存在 ″
 少しでも近づきたいと思う気持ちは
 常にある」
と語る
インタビュアーから ″ えー!教祖ですか?″
と聞かれ
伊藤棋士はニコニコ笑って
「はい」
と答えていました。

最後に藤井棋士は
「後世の人が自分の将棋を見て
 ″ おもしろい ″ と思ってもらえるような
 棋譜を残したいです」
と語って番組は終わります。

番組を見終えた私は
将棋の勝負を観たというよりも
将棋を通して、藤井棋士と伊藤棋士
お二人の人間模様の短編ドラマを
じっくり観させていただいたと感じました。

21歳の2人の棋士は
9歳に対局しており、時間を経て
1人は先にプロ棋士になり8冠達成。
そしてもう1人は、
相手を教祖のような存在とし目標として棋士に
そして、
9歳の対局から11年経ち再対局。
誰もが疑わなかった勝利を収める筈が
どんでん返しの1手を指す対局をする2人。

AIが将棋界を凌駕する時代になった今。
子供の頃から将棋を心から好きで
毎日毎日AIと向き合い将棋をし
その中で自分らしく将棋を指して
勝負を挑んでいく棋士。
どんなにAIを駆使して学び続けても
勝利を目前に
たった1手のミスで負けに。
AIの最良の手を選ぶのも、
悪手の1手を選ぶのも 人 。
史上発の若さで8冠を得た藤井棋士でさえ
一瞬の冷静さを失い勝負に負ける。

将棋に限らず、勝負の世界は非情であり
一瞬のミスが勝負を分けます。
だからこそ
日頃から心身を鍛え、技術を磨き
自信を持って勝負に臨んでいくのです。

私にそんな勝負が巡ってくるとは思えませんが
人生で いつどんな時に ″ 勝負 ″ が訪れるかは
分かりません。
だとしたら、
毎日、自分の出来ることを積み重ね
自分に自信が持てるように励みたいです。
悔しいと思えるのは、
頑張った自分があるからこそ。
頑張らなければ、悔しくなんてありません。
悔しく思えるほど
何かに頑張れることがあるって素晴らしい。

私には 夢も目標もあります。
だから 今日も笑顔で頑張ることを楽しみます。

今日も1日が始まっています。
自分の機嫌を取り
気持ち良い1日を過ごします。

#ジブン株式会社マガジン


NHKスペシャル 
藤井聡太 VS 伊藤匠 AI時代 
将棋の新たな地平
は9/15(日) 午後9:49まで配信中
お時間のある方は是非。

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