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美術館巡り #01 熊谷守一美術館

5月下旬、東京都豊島区にある熊谷守一美術館へ行きました。

東京メトロ 千川駅から徒歩10分、閑静な住宅街に佇むコンクリート造りの美術館です。
展示室は1階~3階、1階にはカフェとショップがあります。


熊谷守一美術館とは

画家・熊谷守一(1880年~1977年)が1932年(52歳)から1977年(97歳)に亡くなるまでの45年間暮らした自宅兼アトリエ跡地に建てられた美術館です。
1985年に私設美術館として創立。その後2007年に守一の次女・榧が所有する熊谷守一作品153点を豊島区に寄贈し、豊島区立熊谷守一美術館となりました。

独創的な建物も見どころ

建築家・岡秀世が率いるI.C.D.建築設計事務所による設計。
外壁はコンクリートの打ちっぱなし、内部はレンガ組みのコンクリートブロックで組み上げられた独創的な建物になっています。

レンガ組みコンクリートブロックの壁面

企画展 熊谷守一美術館39周年展「守一、旅を描く。」

1階展示室では毎年5月28日の開館記念日に合わせて開催されている特別企画展を見ることができました。
企画展の会期は2024年4月16日(火)~6月30日(日)

展示は熊谷守一と「旅」をテーマに所蔵作品・寄託作品と守一の故郷、岐阜県にある「熊谷守一つけち記念館」の所蔵作品、合わせて30点近くで構成されています。

3階ギャラリーでは書やスケッチなど、企画展に関連する資料や作品が展示されていました。

熊谷守一《風景(蓼科高原大池)》1948年 熊谷守一つけち記念館蔵

蓼科高原の人工の溜池を描いた作品。
白樺の幹の白さと山の深緑、池と空の水色という少ない色数が特徴的で、赤茶色の輪郭線のちょっとごつごつした感じが風景の揺らぎを伝えているように思えます。

熊谷守一《烏》1957年 熊谷守一つけち記念館蔵

単色で塗り分けられた渋めの配色の中にピンクやオレンジなどが差し込まれていて、その色合いが好きです。

熊谷守一《秋元湖》1957年 熊谷守一つけち記念館蔵
熊谷守一《木小屋》1966年 熊谷守一つけち記念館蔵

常設展示

2階展示室では、初期から晩年までの作品を見ることができます。

40代~50代の作品は、ボリュームのある絵具と荒々しい筆致で描かれていて、熊谷守一からイメージする輪郭線で区切られた色面に単色で描かれた作風は70歳を超えてから確立したことを初めて知りました。

熊谷守一《白猫》1959年(79歳)

眠る表情がとても可愛い。
図版で見たことがある作品ですが、絵具の厚みや筆致、絵肌の質感など実物を見ると伝わってくるものが全然違います

熊谷守一《桜》1964年 84歳

輪郭線が少し窪んでいて、上から塗っているというより線を削り出して下地の色を出しているように見えます。
あるいは、輪郭線の部分だけ残して周りを塗っているのか・・。
浅浮彫の工芸作品を見ているようで、趣があって好きな作品です。

熊谷守一《夕暮れ》1970年 90歳

最晩年の90歳で描いた《夕暮れ》は、同心円で太陽と日輪を描いた作品。
シンプルだけれど複雑、人生を凝縮した厚みと深さ、悟りの境地のような雰囲気を感じる作品です。

館内の様子

階段の壁には熊谷守一の写真が掛けられています。

《熊谷守一 肖像》藤森 武 撮影
《熊谷守一 旧居のアトリエで》藤森 武 撮影
《チェロを弾くモリ》藤森 武 撮影

コンクリート造りの建物でありながら冷たい感じはなく、アットホームで居心地の良い空間です。
カフェスペースでは読書する人の姿も見られました。
ゆったりとした時間が流れる、静かで落ち着いた雰囲気の美術館です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

美術館DATA

豊島区立 熊谷守一美術館
東京都豊島区千早2-27-6
開館時間:10:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜日(祝祭日問わず)・年末年始
※ぐるっとパス 対象施設

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