kichikichi|美術は楽しい

美術鑑賞が趣味。主に東京の美術館とアートギャラリーを巡っています。興味関心:美術、建築…

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美術鑑賞が趣味。主に東京の美術館とアートギャラリーを巡っています。興味関心:美術、建築、演劇、ビンテージ家具・食器・雑貨、スイーツ、カフェ。苦手なもの:大きい音、人混み。 noteは展覧会を観て感じたことや考えたことの記録。たまにそれ以外のことも書きます。

最近の記事

展覧会 #16 内藤礼 生まれておいで 生きておいで@銀座メゾンエルメス フォーラム

この展覧会は東京国立博物館とエルメス財団の共同で企画されたもので、東京国立博物館と銀座メゾンエルメスフォーラムの展覧会は一連の流れをもった構成になっています。 会期は東京国立博物館が6月25日~9月23日、メゾンエルメスフォーラムが9月7日からスタートで2週間くらい会期が被るスケジュールになっています。 8月後半に東京国立博物館を観に行き、その記憶が残っているうちに観ておきたくて初日にメゾンエルメスフォーラムを訪れました。 ※東京国立博物館の感想記事はこちら 会場は銀座

    • 展覧会 #15 空想旅行案内人ジャン=ミッシェル・フォロン@東京ステーションギャラリー

      タイトルとチラシの色彩に惹かれて東京ステーションギャラリーの展覧会を訪れました。 チラシのデザインは3種類。作品の雰囲気を表現しているフォントデザインが秀逸です。 線と色彩 白黒で豊かな世界を生み出すことを目指してドローイングに打ち込んでいたという若い頃に培われたシンプルで無駄のない輪郭線。 カラーインクと水彩の柔らかい濃淡が幻想的な雰囲気を作り出しています。 色数が少ないのは白黒の世界を追求していたことに関係あるのでしょうか。 夜明け前の空を見ているような青から赤へ

      • 展覧会 #14 内藤礼 生まれておいで 生きておいで@東京国立博物館

        内藤礼(1961年~)は広島生まれ、現在は東京を拠点に活動している美術家です。 この展覧会は東京国立博物館とエルメス財団の共同企画で銀座メゾンエルメスフォーラムの個展と一連の流れをもった構成になっているということで、9月7日(土)から始まるメゾンエルメスの展覧会も訪れたいと思っています。 展示は3つの会場に分かれていて、平成館 企画展示室→本館 特別5室→本館1階ラウンジの順に巡っていきます。 ※写真撮影不可のため展示室内の様子は紹介できません。 何を見て、何を感じ考えた

        • 展覧会 #13 日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション @東京都現代美術館

          高橋龍太郎コレクションとは精神科医、高橋龍太郎(1946~)が1990年代末頃から収集を始めた総数3500点を超える日本の現代美術コレクション。 日本人コレクターによる日本現代美術のコレクションを見られる機会は珍しいと思って観に行きました。 美術館が所蔵する現代日本美術の先を行く現在進行形の日本美術が見られる内容で、とにかく作家数が多いこと、そしてスケールの大きい作品が多いことが印象的な展覧会でした。 日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション 会期:2024年8月3日(

        展覧会 #16 内藤礼 生まれておいで 生きておいで@銀座メゾンエルメス フォーラム

          展覧会 #12 空間と作品@アーティゾン美術館

          この展覧会はアーティゾン美術館のコレクションによる企画展です。 通常美術展では作品が表現するものを観に行くのですが、この企画の面白いところは美術作品の外側の世界を見せていることです。 依頼主の存在、著名人に所有されていた来歴、室内装飾としての役割、祈りの対象など、美術作品という物理的な存在がどのような場所でどのような人に関わってきたかを知ることができます。 6階展示室祈りの対象 最初にお出迎えしてくれるのは円空の仏像。 とても優しい表情で気分がほっこり和らぎます。 かつて

          展覧会 #12 空間と作品@アーティゾン美術館

          【演劇】イキウメ『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』@東京芸術劇場

          今回は演劇鑑賞の話。 劇団イキウメの公演『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』を観に行きました。 興味があっても何から手を付けてよいか分からず敷居が高いと感じている演劇の世界。 数年前に友人のお勧めでWebで限定公開されていた過去作品を観たことがきっかけでイキウメの公演を見るようになりました。 今回の作品はとりとめのない怪談話が徐々にある一つの物語につながり、過去と現在が交錯していく話。奇妙でちょっとゾクっとする瞬間もありながら随所に笑いもあって、怖いのが苦手な私にはちょうど良

          【演劇】イキウメ『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』@東京芸術劇場

          展覧会 #11 カルダー:そよぐ、感じる、日本@麻布台ヒルズギャラリー

          2023年に開業した麻布台ヒルズにある「麻布台ヒルズギャラリー」を初めて訪れました。 地下鉄神谷町駅の5番出口から直結しているので駅からのアクセスは抜群です。この猛暑の中、外に出なくていいのは助かりますね。 先日鑑賞した「TRIO展」(東京国立近代美術館)でカルダーの作品を見て興味が湧き、この個展を見に行くことにしました。 アレクサンダー・カルダー(1898~1976年)の代名詞ともいえる動く彫刻「モビール」を中心に絵画や立体作品も展示されています。 絵画作品とモビール

          展覧会 #11 カルダー:そよぐ、感じる、日本@麻布台ヒルズギャラリー

          現代アート巡り #08 宇留野 圭「Echo of Silence」@LOKO GALLERY(代官山)

          久しぶりに代官山のLOKO GALLERYを訪れました。 この建物は通りに面した部分がカフェ(zenta coffee)でその奥がギャラリーになっています。 ちょっと分かりづらいですが、カフェ横の階段の先にギャラリーの入口があります。 カフェとギャラリーはガラスの壁で仕切られていて扉があり、そこからギャラリーに入ることもできます。 以前訪れた時は「私立珈琲小学校」というカフェだったのですが、2021年に移転したみたいですね。 過去の記録を見返すと前回こちらのギャラリーを

          現代アート巡り #08 宇留野 圭「Echo of Silence」@LOKO GALLERY(代官山)

          美術館で座れる素敵な椅子 | 埼玉県立近代美術館

          先日訪れた埼玉県立近代美術館には開館当初から収集しているデザイン椅子のコレクションがあり、その中から常時数種類が展示されていて実際に座ることができます。 「今日みられる椅子・今日座れる椅子」の一覧は美術館のホームページに掲載されています。 時間の都合ですべての椅子を見ることはできませんでしたが、1階ロビーと展示室に置かれていた椅子はいくつか座ってみました。 1階コレクション展示室にも個性的な椅子がありました。 そういえば、美術館に置いてある椅子って素敵なものが多いです

          美術館で座れる素敵な椅子 | 埼玉県立近代美術館

          展覧会 #10 吉田克朗展@埼玉県立近代美術館

          この展覧会は「もの派」の中核作家である吉田克朗(1943~1999年)の制作の軌跡を辿る初の回顧展です。 私が今まで見てきた「もの派」の作家でぱっと思い浮かぶのは李禹煥と菅木志雄で吉田克朗の作品は(たぶん)見たことがなく、どんな作品が見られるのか興味が湧いて展覧会を訪れました。 今回の展覧会で吉田克朗の活動全体を通して見ると、「もの派」の作風に取り組んだのは初期の一時期だけだったということが分かります。 「もの派」の作品も興味深いですが、私は「もの派」を離れて平面で表現を模

          展覧会 #10 吉田克朗展@埼玉県立近代美術館

          展覧会 #09 五感であじわう日本の美術@三井記念美術館

          私が美術作品を観るときに大切にしていることは、五感を働かせて作品に向き合うことです。美術情報サイトで展覧会タイトルに「五感」という文字を見つけて興味を惹かれ、この展覧会を訪れてみました。 私が最も期待していた「五感であじわう」ことについては、私はあまり上手くいきませんでした。 それは何故か?については最後に述べることにします。 でも、それを抜きにしても充分楽しめる展示内容だったので、結果的には満足しています。 美術館について 三井記念美術館は三井家が収集した美術品約40

          展覧会 #09 五感であじわう日本の美術@三井記念美術館

          展覧会 #08 今森光彦 にっぽんの里山@東京都写真美術館

          「里山」と聞いて思い浮かぶのは、いわゆる日本の原風景と表現されるような山間部の風景です。 今森光彦氏による里山を軸とした写真は、一つ一つはそこに暮らす人々の姿や植物、生き物を撮影した自然写真ですが、展示を見ていくにつれ、徐々に里山には人間を育む存在として自然があり、それに寄り添うように人間の営みがあることが見えてきました。 それは私が今まで自然写真を見て感じたことがない感覚で、日本の自然は生き物との共生空間であるということがとても心に沁みました。 展示は春夏秋冬の四季に分か

          展覧会 #08 今森光彦 にっぽんの里山@東京都写真美術館

          コレクション展は楽しい #04 東京国立近代美術館

          東京国立近代美術館のコレクション展が大好きで、企画展を見に来た時以外でもコレクション展目当てで訪れることがあります。 今回は企画展「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」の観覧と併せて所蔵作品展「MOMATコレクション」を観ました。 〈コレクション展の特徴〉 13,000点を超える所蔵作品から会期ごとに約200点を展示している国内最大級のコレクション展です。 それぞれにテーマを立てた12の展示室を観ることで19世紀~現代にいたる日本の近代美術の流れをたど

          コレクション展は楽しい #04 東京国立近代美術館

          展覧会 #07 TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション@東京国立近代美術館

          6月最初の土曜日に「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」展を観に行きました。 この展覧会は、パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館のコレクションからテーマに合わせて選ばれた作品で34のトリオを組み、7つの章に分けて紹介しています。 出品作家は110名、150点余りの作品で、20世紀初頭から現代までのモダンアートの新しい見方を提案する内容になっています。 全体を通して見ると、近代から現代へ芸術の表現方法が多様に変化していく様子が分かる展

          展覧会 #07 TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション@東京国立近代美術館

          美術館巡り #01 熊谷守一美術館

          5月下旬、東京都豊島区にある熊谷守一美術館へ行きました。 東京メトロ 千川駅から徒歩10分、閑静な住宅街に佇むコンクリート造りの美術館です。 展示室は1階~3階、1階にはカフェとショップがあります。 熊谷守一美術館とは画家・熊谷守一(1880年~1977年)が1932年(52歳)から1977年(97歳)に亡くなるまでの45年間暮らした自宅兼アトリエ跡地に建てられた美術館です。 1985年に私設美術館として創立。その後2007年に守一の次女・榧が所有する熊谷守一作品153点

          美術館巡り #01 熊谷守一美術館

          展覧会 #06 三島喜美代展@練馬区立美術館

          三島喜美代(1932年~2024年)は新聞やチラシ、段ボールや空き缶など身近な廃棄物を陶で再現した作品で知られる作家です。 薄くのばした陶土の表面にシルクスクリーンや手書きによって新聞やチラシの文字を転写して焼成することで生み出される三島喜美代独自の立体作品は、その再現性の高さが魅力で、何より「遊び心」があるところが好きです。 インタビュー映像を流しているコーナーがあり、その中で「見た人が「面白い」と思うものを創りたい」と語っていたことが印象的でした。 今回の個展「三島

          展覧会 #06 三島喜美代展@練馬区立美術館