今年4回目のMOMATコレクション鑑賞。長くなるので記事を3つに分けています。
※前回までの記事はこちら
清野賀子「The Sign of Life」
毎回楽しみにしている第9室の写真・映像展示。
今回は取り上げられていたのは清野賀子(1962-2009年)。
本当に何もない風景の連続。
「何もない」というのは日常的で特別な感じがしないという意味。
でも何点か観ていくうちに、この景色の向こう側には何があるのだろうという興味が掻き立てられてきます。
学校なのか、病院なのかそれとも企業なのかすごく気になる。
手掛かりが何も写っていないのは意図的なのだろうと思います。
中央付近に街灯のようなものが見えて、このフェンスの先には幹線道路か高速道路でも走っているのかなと想像してみたり。
中央奥の暗いところにフェンスらしきものが見えて、この先は森なのか山なのか、人が住んでいる気配はあるけれど、ここはどんな場所なのだろうと興味が尽きない。
写真家として活動を本格化して初めて雑誌に発表した写真も資料展示されていました。
河原温
河原温(1933-2014年)は私にとって謎めいた存在。
「浴室」シリーズの不穏で謎めいた雰囲気がそのまま作家のイメージにつながっています。
「Today」シリーズはコンセプチュアルアートの代名詞みたいな作品。
解説を読まないと理解できない、コンセプトありきの作品を受け入れられるかどうかは、その時の気分次第かなと思っています。
今回は次の「I GOT UP」シリーズが面白く感じて、コンセプチュアルアートを割と素直に受け入れられたのかなと思う。
「I GOT UP」シリーズは河原が滞在した場所の絵葉書を使って起床時間をスタンプした作品。よく見ると宛先は奈良原一高。同時代で親交があったことを知りました。
奈良原一高
奈良原一高(1931-2020年)は、展覧会で『ヨーロッパ・静止した時間』を観て好きになった作家。
今回は第8室と第11室で作品を観ることができました。嬉しい。
『無国籍地』シリーズ
作品を通して伝わってくるのは廃墟の静けさ。
鏡(水たまり?)や窓枠、車輪の枠を通して廃墟を見る構図が印象的で、過去をのぞき込んでいるような気分になります。
過去の残像が心に差し込んできて、恐れに似た気持ちがこみあげてくる作品でした。
ブロードウェイ
万華鏡を見ているような写真が9枚並んだ見た目がまずカッコいい。
道路の表情が強調されて、自分も地面の視点で街並みを見ている感じ。
道路の匂いがしてきそう。
今回はMOMATコレクションだけを1日かけてたっぷり鑑賞しました。
いつも何か発見がある、楽しくて勉強になる大好きなコレクション展です。
最後までお読みいただきありがとうございます。