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ニッチを狙うしかない

ニッチを狙うしかない、というのが現時点でのマーケティングの結論だ。

高度経済成長時代は社会、生産、生活それぞれのインフラを整備することがビジネスになった。

高速道路や橋などの公共事業、駅整備・・・社会インフラ

大規模工場、工業団地、サプライチェーンに入り込む・・・生産インフラ

アパート、住宅、マンションを建設する・・・生活インフラ

少なくとも日本では完成している。これらへ付随し、生活に24時間いつでも買える、というコンビニエンスストアやレンタルビデオなどが生まれ、その派生でストリーミングサービス(Netflix)、アマゾン楽天などのネットショップがある。派生でしかない。「つづき」であり創造ではない。

インフラビジネスはたくさんの人に同じものを売る。終わった。

代わって、個別の小さなマイクロインタレスト(興味関心)に的を当てたビジネスになってきつつある。どう考えてもニッチである。多品種少量生産。「スケール」しない。大企業では議論にならない。大企業は基本に忠実だからだ。その基本というのはファイナンスと経済学の基礎講座で必ず教えられる次のような原則だ。

投資の選択肢を評価するときには、埋没費用(サンクコスト)と固定費(すでに発生していて、どの選択肢を選んでも選ばなくても変化せず発生する費用)は無視し、その上で、それぞれの投資に伴う限界費用と限界収入(新たに発生する追加費用と収入)を評価する。これをやると、未来に必要となるであろう新しい能力を開発するよりも、既存の能力を使う方向へバイアスかかる。どうしても。そして、総費用より限界費用が低く、限界利益が高い選択肢が選ばれる。すると「いまの時点でうまくいっている事業」が選択される。ニッチは選択されない。

ブロックバスターがNetflixの新規参入時にやってしまったのがこれで、66%の利益率と数十億ドルの売上を誇る既存事業を壊してしまいかねないオンライン・レンタルサービス(当時のNetflixは売上わずか1億5000万ドル、利益率たったの36%)は「ニッチ」だとして、無視した。

ブロックバスターを責めるのは酷かもしれない。未来について確実に言えることは「わからない」である。わからないことに加えて、自社のドル箱事業をふっとばしかねないオンライン事業に投資します、しかも売上も利益率も遥かに小さいです、というのは株主はじめ、ステークホルダーたちに納得いく説明はできなかった。

いま、多くの大企業はこれと同じ状況に陥っているはずだ。なぜなら、冒頭書いたように、彼ら大企業が、小さい会社からいまのような巨体になった理由が、「インフラ事業」である。売上も利益率も大きい。ところが、ニッチ、売上も利益率も顕微鏡で見なければわからないくらいの新規事業に参入する合理的な理由は見当たらない。手を挙げても、稟議は通らないだろう。

プラス、さらに大きな要因として、大企業はこの一年、そしてこれからも基本、テレワーク推奨で仕事が進められる。しかるに、テレワークは弊害だらけなのである(*)

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*予測不能の時代: データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ、矢野和男著、草思社刊を参考に阪本がスライド作成

で、あるなら、ぼくたち個人や中小企業のチャンス到来、ということになる。ニッチを、まだ誰も手をつけていない市場を狙おう。

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今朝のパキ天。
健気すぎる!
ありがとう!

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