音が空間デザインの鍵になる
テスラで驚いたのは音だ。無音。
エンジンがなく、4つある車輪にモーターが直付けされて駆動しているだけだから、音がしない。
車内が無音だし、外の音も入ってこない。
すると何がいいか。
サウンドがとっても楽しめるんだ。
考えてみればこれまでの車は、音が常備されていた。
いまだにレガシータクシーは老人運転手がプロ野球をテレビで見ながら運転したりしてる。あるいはAMラジオでくっだらないシモネタとか。
車の音にかき消されないようなボリュームでクラシック流しても、ちょっと違う。
しかしテスラだと、コンサートホール並の「無音」なんだ。音がしない、ではなく、無音がそこにある、という感じ。
でね。
ぼくはいつも未来の商いについて考えているんだけど、「音のデザイン」って、これからもっともっと大事になってくると思う。
新婚旅行で泊まったホノルルのホテルは朝、波とハープ、そして小鳥の鳴き声で目が覚めた。設計されたものなのか、それともたまたまなのかわからない。
多羅尾の家(滋賀県甲賀市信楽町多羅尾2583)、音がない。
苔、何の手入れをしなくても、すくすく育つんだって。
氣がとても良い。
そうか。音のいい・・・というか、音が心地よい場所って、氣も良いんだ。
車がガーガー走りまくって、人がガヤガヤ歩いてて・・・音がうるさいし、氣も悪いよね。
朝の品川駅は人が川のように流れてたけど、コロナ後はどうなったんだろう。
リビングルームでも、寝室でも、音「ある」のが普通だ。
エアコンだったり、外の工事現場の音だったり。
JOYWOWオフィスでこれ書いてるけど、音、するもん。
換気扇の音(24時間換気なんだって)。
エアコンの音。
音が、これからの空間デザインの鍵になると思う。
ほら、どこにでもよくあるショッピングモールって、「どこにでもよくある」音流してるやん。あの、「どこにでもよくある音」がプライシングを決定づけているよね? 「この音聞きながら高い値札見る気はしない」となる。
ブランドデザインのとき、特に店舗では、音がとても重要だ。
イーロン・マスクは、テスラをデザインするとき、きっと音にこだわったんだろうと思う。せっかく車を再発明するのだから、これまでの延長ではないものに。その答えが、「無音」だったのだろうね。